J論 by タグマ!

『なぜ久保建英をスポーツ紙が取り上げるか』FC東京番記者座談会

ファンが何万人入った環境でやるのをこの歳で味わえるということはバルサではできなかっただろう

本日は「FC東京番記者座談会」をお届けしたいと思います。ゲストにお呼びしたのはスポーツ報知の井上信太郎記者とスポーツニッポンの大和弘明記者。はたしてどんなお話が飛び出すでしょうか。

20170608.png
井上記者(左)、大和記者

▼久保建英について

後藤:本日、司会を務めさせていただきます『トーキョーワッショイ!プレミアム』後藤勝です。それではまず、自己紹介をお願いできますでしょうか。

大和:スポーツニッポン新聞社の大和弘明です。群馬県出身、編集センター、長野支局勤務を経て2013年の10月からサッカー担当をしています。長野支局の時は高校野球などいろいろやっていましたが、松本山雅FCやAC長野パルセイロのJFL時代を取材していました。

後藤:JFLにいたときの松本と長野を取材しているというのは貴重ですね。井上さんも、ずっとサッカーというわけではないんですよね。

井上:報知新聞社の井上信太郎です。以前はプロ野球の担当で、読売ジャイアンツとヤクルトスワローズを取材していました。サッカー担当になったのは去年、2016年からで、サッカー班配属とともにFC東京の担当を始めました。

大和:担当するチームが優勝すると言う伝説が……。

井上:野球時代は4連覇だったんですが……。

後藤:昨年も予定では優勝……いや、やめておきましょう。じつは甲府も観ていたのだとか。

井上:昔、地方部時代にヴァンフォーレ甲府を1年担当していました。2011年のことですね。あと、その前の2010年にカターレ富山、まだJFLだったツエーゲン金沢も観ていました。

後藤:安間貴義トップチームコーチとも接点がありますよね。

井上:安間さんとは主に富山を取材していたときに会っていたんですが、じつは2009年に甲府をちょっと手伝っていたときにも安間さんにはお世話になっていて。じっくりお付き合いさせていただくのは2016年の東京からですね。

大和:忘れてた、高橋秀人と同じ群馬県伊勢崎市出身です。

後藤:そこ重要ですね。

井上:年齢的には平山相太世代ですね、1985年生まれ。われわれふたりとも09年入社で同期です。

後藤:その年齢だと中堅って言ったらいいんですかね、若手じゃない?

大和:いちおう若手の、中堅の入口といいますか。

井上:中堅になりましたって感じです。

後藤:おふたりは、前半戦の話題を持っていった久保くんについてもよく取材されていますよね。U-20ワールドカップ前にJ1カテゴリーでプレーしたのはルヴァンカップの2試合ということになりますが、このカテゴリーでの久保建英の印象はどうでしたか?

井上:ぼくが取材を始めたのは最近のことなので、過去との比較ではできませんが、プレーも強気にやるんだなっていう印象ですね。

後藤:まったくおどおどした様子とかないですよね。

井上:はい、飄々とやっているし、「ぼくの15歳のときとはまったくちがう」って大久保嘉人も小野伸二も言ってたけど、そうとしか思えないですね。

大和:観ていて何の違和感もない、15歳だからどうこうっていうんじゃなくて、年齢を言われなければ15歳とわからないぐらいふつうにやっていた。それはまずすごいなというのと。あと思うのは、もし自分が15歳であの場面にいたらもっとがむしゃらにやるんでしょうけど、悪い意味じゃなく、それもないのがすごいなと思った。ふだんとちがうプレーをしてしまう事がまったくないから、この子はすごいと感じました。

井上:ことしにかぎって言えば、体格だとか身長について世間ではいろいろ言われていたけどそんなにちいさくもないし、そこまでひょろひょろでもないというのは感じました。「早く上げすぎだ」という声もありますけど、この年代で早くチャンスを与えられるというのは、森本貴幸などのレアケースを除けば日本ではあまりなかったことじゃないですか。(リオネル)メッシだって18歳になったばかりのときにA代表デビューを果たしているわけで。こうやって早くプロを経験するのは結果的に彼のためにも、とってもよかったんじゃないかなとは思います。

大和:怪我しなくてよかったけど、もはや、怪我するような身体でもないんじゃないかと。

井上:U-20日本代表監督の内山篤さんは「メッシが怪我するか?」って言っていました。それを考えれば、周囲が見えている久保建英がそうそう容易にけがをするはずがない、とは言えるのでは。

後藤:久保くんの海外挑戦をサポートした浜田満さんが、ぼくが書いた記事に「たしかに久保建英は大きく成長したが、もしあのままバルサにいたらもちろんそれはそれで大きく成長していただろう」という意味のコメントを残してくれたんですけれども、言い換えると、バルサで成長するのと同じぐらいの状態にして返さないと日本の名折れになっちゃうわけですよね。と考えると、東京がこれだけ必死になっている理由はわかります。あれくらいカテゴリーを上げないと、ヨーロッパで成長する速度に追いつけないということなので。

井上:バルセロナにいたらもっと巧くなっていたかもしれないけど、絶対この歳でプロは経験できていない。レベルだけでなく、ファンが何万人入った環境でやるのをこの歳で味わえるということはバルサではできなかっただろうと、スペインの通信員は言っていました。

後藤:成長のルートとか仕方はちがうけど、

井上:ちがうけど、それはそれで順調にいっているんじゃないかと思います。

後藤:大きな試合で観たいという期待感が結果的に奏功したという面はあるかな、とも。

井上:なぜ久保くんをスポーツ紙が取り上げるか、言っておいたほうがいいかもしれないですね。正直なところ、サッカーを知らないひとも読むスポーツ新聞で報道をしようとしたときに、残念ながらサッカー界で話題になる人物が乏しいわけです。

大和:三浦知良選手がその筆頭ですよね。

井上:そうですね。この状況で久保建英という存在が出てきたことは、メディアのみならず日本のサッカー界にとってもビッグチャンス。誰もが知っている選手は本田圭佑以降出てきていないですから、取り上げざるを得ないし、取り上げたくなるところはあります。ただもちろん、本人はまだ15歳(※座談会収録時点。本記事掲載時点では16歳)。彼を守らなきゃいけないというのはもちろんわかるし、そこの折り合いをどうつけていくかが重要だと思います。

→後編は下記からご覧ください。
【特別企画/有料記事】FC東京番記者座談会<後篇>(2017/06/07)(トーキョーワッショイ!プレミアム)