[J論] - これを読めばJが見える

論コラム週替わりのテーマについて有識者が物申す!

テーマ早すぎる終幕。準々決勝に散った日本代表の進むべき道とは?

ugkawabatashimizuoosimahojoetonakanofujimotokawajikotanitetsutsuchiyakitakenasanoendomoritanaitowatanabefumofumogotosimozonogelmatsuoikedamaedaandoejimahiranoiwamotohigurashitakinishibesatotakuyoshidasuzukijunkamiyagototaoyamaozawasatomadokatanakayoshikirokukawakatamura55nakakuranonakagunzifujiimatsuojunmaeshimaonakakawanokumamotojronmatsumotoodayunoishiiatsushisatoisaotatsujyuni

歩く蹴球事典・後藤健生

2015 01/25  12:16

心理的なワナのあったUAE戦。僕はアギーレ監督の用兵に「ノー」と言いたい

2015年1月23日、日本代表のアジアカップは終幕を迎えた。早々に先制点を奪われ、一方的に攻め込んで同点としたものの、勝ち越しはならず。1-1からのPK戦の末、アギーレ・ジャパンの挑戦は早すぎるエンディングとなってしまった。果たしてこの敗戦から読み取るべきこととは何か。ベテランジャーナリスト・後藤健生は、試合前の心理面に注目。アギーレ監督の手腕を検証する。



▼まるでギリシャ戦のようだった
 UAE戦はアジアサッカー連盟の公式記録によれば、日本のシュートが35本、UAEのシュートが3本という、内容的には圧倒的に日本が優勢の試合だった。

 そして、大会を通じて見ても、実力的には日本とオーストラリアの力が圧倒的。パスの精度、パススピード、アイディアの多彩さ......。世界に通用しそうなサッカーをしていたのは、この2カ国だけだった。

 オーストラリアが韓国に敗れてグループリーグで2位となって以来、地元のテレビ局は「準決勝で日本と当たることになってしまった」と報じ続けていた。「事実上の決勝戦」。誰もが楽しみにしていた顔合わせだった。そして、選手たちもそう考えていたことだろう。

 D組で戦っていた日本は、決勝トーナメントに入ると休養日が相手より1日少ない状況での戦いが続く。特に準々決勝は「日本が中2日、相手が中3日」という状況だった。疲労は回復できていない。そして、選手たちが次の試合のことを考えながら試合に入ってしまった。それが伏線だった。

 立ち上がり、攻撃面ではあまりに軽いプレーが多く、簡単にボールを奪われてしまう。そして、守備も軽率過ぎた。開始3分に酒井高徳が攻め上がったところでボールを奪われ、アリ・マブフートに抜け出されてしまう。アリは、これまでのUAEの試合を見ても、ディフェンスラインの裏に抜け出すのがうまい、当然、警戒すべき選手の一人だった。

 そして、そのわずかに4分後、オフサイドトラップをかけそこねて、再び同じ選手をフリーにしてしまい、まさかの失点。

 その後はチャンスの山を築いたものの、柴崎の1点のみに終わって、勝負はアギーレ監督が「くじ引きのようなもの」と形容したPK戦に持ち越された。

 終わってみれば、攻めても、攻めても点が入らない。まるで、ブラジルW杯でのギリシャ戦を思い出すようなもどかしい試合だった。

▼試合前から指揮官は何をしていたのか?
 そのW杯の後、日本代表監督に就任したハビエル・アギーレ。

 予選敗退の危機にあった母国の代表を救ったり、スペインでは残留争い中のクラブを立て直したり......。そんな経歴から、僕は「ギリシャ戦のような状況で、何か有効な手を打ってくれる」。そういう指導者なのかと期待していた。

 では、UAE戦で、アギーレ監督は何をしたのだろうか?

 まず、中2日で疲労があり、気持ちが入り切れていなかった選手たちに集中を促すための働きかけは十分だったのだろうか?

 モチベーターとしての監督の力量の面である。ロッカールームでどういうやり取りをしたのかはもちろん分からないが、結果的に、選手たちを集中させてピッチに送り出せたとは言えない。

 1点リードされた後半、開始から20分間の間にアギーレ監督は武藤、柴崎、豊田の順に交代選手を送り込んだ。

 武藤と柴崎が入って、たしかに全体に動きが出てきた。特に柴崎の正確なロングレンジのパスは有効で、柴崎がピッチに入って数分もすると、周囲の選手も迷いなく柴崎にボールを集めるようになった。

 だが、最後の時間帯に攻撃力を強化できなかったのはどうしてなのか?

 イランとイラクの壮絶な打ち合いとなった延長戦と比べて、日本の延長での戦いぶりはあまりにも淡々としたものだった。「くじ引きのような」PK戦突入を阻止するためには、もっとリスクを背負ってでも攻めに出るべきだったろう。もちろん、長友の故障という不運はあったのだが......。

 こうした、残り時間が少なくなった時間帯にシステム変更などで攻撃アップのための手をアギーレ監督は打つことができなかった。そう考えると、後半の20分までに3枚目のカードを切ってしまう決断は正しかったのか? もう1枚、交代カードを残しておきたかった。

 もちろん、点が入らなかったのは選手のシュート技術の問題であり、また運の部分でもあって、監督の責任ではない。だが、「アギーレ監督は攻撃力を最大限に上げるための最善の采配をしたのか」と問われれば、僕の答えは「ノー」である。

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続けており、74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授。

テーマ: 早すぎる終幕。準々決勝に散った日本代表の進むべき道とは? に関するコラム
J論編集部

J論編集部

歩く蹴球事典・後藤健生  その他のコラム

投票

納得(2票)

匿名(IP:182.249.245.18)

こういう言い方をすると結果論になってしまうが、アギーレ監督の「手堅く結果を出したい」気持ちが裏目に出てしまったように思う。

ベストメンバーを先発させ堅実に試合に入り、同点もしくはリードの状態から早めの選手交代でスタミナ面の不利を補おうとしたのだろう。それが最後の局面で采配の柔軟性を失わせる事態を招いてしまったが。

そういう心理に至ったのはスポーツ以外での問題が影響を与えていたとも予想されるので、監督交代も
やむを得ないと考える。

2015年1月25日 19:18

匿名(IP:122.18.125.68)

交代が早い監督は賞賛される傾向にありますが、私は全くもって同意できません。
むしろ結果を出している監督は、どちらかといえば慎重に交代枠を使う方が多いような気がします。

後藤さんもおっしゃてるように、延長がある試合にも関わらず後半の20分までに交代枠を使い切ってしまうという今回のアギーレの采配はかなり疑問符のつくものだったと思います。

2015年1月25日 23:17

異論(5票)

(IP:125.54.194.162)

本田 香川 長友 長谷部 岡崎 吉田 川島 そしてケガがなければの内田
昨年くらいから交代出場が多くなってきた遠藤

ザッケローニ
アギーレ
二人の監督は上記の9人を疲弊させても いや疲弊させるまで それでも使い続けているようにみえます

が 交代させずに使い続けていることが問題なのではなくて
上記のメンバーと他の代表メンバーとの間に大きな実力差があることが問題なので

代表監督が問題というより 選手層の薄い代表選手達に問題があると思います

小野 中田ヒデ 俊輔 小笠原 稲本 福西 遠藤 名波等々 誰を選ぶか悩むような中盤メンバーがいた10年くらいまえなら固定して使わなければならない問題は起こらなかったでしょう

多分ですが
以前より 海外に行った選手が海外で実力を伸ばし J でプレーする選手との力が離れてしまってるのが一つの要因だと思います

2015年1月25日 21:48

(IP:182.250.243.227)

岡崎から豊田への交代である程度アギーレの意図は読み取れたはず。なのに監督の意図より自分たちのやりたい事を優先した選手たちが攻撃力を落としたに過ぎないと思う。

2015年1月27日 16:53

匿名(IP:220.148.12.203)

選手交代は岡崎選手も負傷気味だったためでは
むしろ後半からの乾→武藤の交代の方が慎重になるべきたっだのではと…

2015年1月27日 21:54

匿名(IP:126.204.5.80)

長い時間ビハインドのままで「延長を見越して」交代枠を残すのはナンセンスでしょう。
あそこで代えずに90分で追いつけていなかったら「決断が遅い」と批判されただろうことは明白です。
過密日程での披露対策には疑問が残りますが当日の采配には問題なかったかと。

2015年2月 1日 08:49

BernieceEHolstine(IP:54.221.196.76)

Thanks for finally talking about >心理的なワナのあったUAE戦。僕はアギーレ監督の用兵に「ノー」と言いたい -
[J論] <Liked it!

2015年7月25日 08:08

論 アクセス ランキング

  1. 奇妙な試合に消えた浦和レッズ。その敗北が偶然の産物とは思えない 5580PV
  2. J1【浦和vs松本】松本山雅FC 試合後の選手コメント『体を張るということを90分通してやらないといけない』(田中隼磨)+前田・飯田 5343PV
  3. ハリルホジッチと右翼のフットボール 5280PV

論 最新ニュース