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【田村修一の視点】2025年10月4日 J2リーグ第32節 ジェフユナイテッド千葉vsV・ ファーレン長崎

J2リーグ第32節 千葉0(0-1)2長崎
14:03キックオフ フクダ電子アリーナ 入場者数 15,824人
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勝ち点1差の2位対3位対決。勝者がJ1直接昇格に近づく。その大一番を制したのは長崎だった。

 

千葉は渾身のゲームだった。準備したすべて、持てる力のすべてを余すところなく発揮し、特に前半はプレーの強度とスピードで長崎を圧倒し、得点機も幾度となく作り出した。だがそれを決めきれずに、終了間際のカウンターからエジカル・ジュニオに決められる痛恨の失点(45分)。後半もコレクティブに攻め続けたが、ショートカウンターからのサイド突破を許し、松本天夢に2点目を決められて(72分)万事休した。

 

個の力では明らかに長崎。だが千葉は、チーム全体のコレクティブな強度で長崎を凌駕した。それでも得点が出来なかったのは、個のフィニッシュ力が足りなかったからなのか。それともコレクティブなゴール前の詰めが不十分だったのか……。

 

次節の水戸戦――長崎戦以上の重みを持つようになった首位チームとの対戦(10月19日)まで、2週間の猶予期間があるのは千葉にとって唯一のプラス要因である。受け入れがたい敗戦の後もシーズンは続く。そして、まだ何も決まってはいない。

 

「自分たちの運命を、自分たちで勝手に決めるな」

 

この言葉を、千葉の監督と選手に贈りたい。この先の戦いこそが、小林慶行体制のもと4年間培ってきた千葉の集大成になるのだろうから。

 

一方、アウェーで貴重な勝ち点3を獲得し、自動昇格に大きく近づいた長崎だが、チーム作りに関してはまだまだ途上の感が否めない。千葉戦は相手の攻撃をことごとく受け止めて、カウンターからの得点で勝利を得たものの、マテウス・ジェズスをはじめとする
J2では卓越した個の強さを、コレクティブな力にまで昇華できてはいない。今後に向けての高木琢也監督の課題といえる。

 

 

 

 

 

田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。