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【田村修一の視点】ちばぎんカップ 2025年2月9日 ジェフユナイテッド千葉vs 柏レイソル
ちばぎんカップ 千葉0(0-2)3柏
14:04キックオフ フクダ電子アリーナ 入場者数15,187人
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小林慶行監督体制3年目で悲願のJ1昇格を目指す千葉と、リカルド・ロドリゲスを監督に迎えJ1上位進出を伺う柏。今年で29
回を数えるプレシーズンマッチの風物詩——ちばぎんカップは、3対0と柏の快勝に終わった。
開始早々に先制し主導権を握った柏は、プレシーズンの準備が順調に進んでいることを示した。的確なプレスとスピーディなパス回し。個とコンビネーションが融合したインテンシティの高さと要所でのアグレッシブな突破は、すべてがわかりやすく整理され、J1上位進出も可能なひとつのスタイルを着実に構築しようとしていることを強く印象づけた。リカルド・ロドリゲスは、ネルシーニョがそうであったように、柏というクラブにぴったりとはまるピースになり得るのかも知れない。
他方で千葉は、昨季までの反省を踏まえ、より成熟したプレースタイル——前線からの強力なプレスではなく懐深く守り、守備でもゲームをコントロールできるスタイルで失点を減らし、タイトル争いに絡んでいくことを今季は目指している。喫した3失点は前後半の開始早々とクイックリスタートからのもので、敢えて相手にボールを握らせ(握られ)ながらゴール前では蓋をしたという点で、意図した戦い方はピッチ上である程度実現できていた。
ただし、優勝に絡んでいくためには、攻守にわたるさらなるプレーの構築が必要。守備もそうだが、小森飛絢が抜け不安視される決定力を、チーム全体でどう回復していくか。ふたりのブラジル人の融合や、ボランチやセンターバックの攻撃に果たす役割——とりわけ起点のパスの正確性、さらには昨季までのインテンシティの高いプレーをいつどこで今季のスタイルに織り交ぜていくのか……。課題は多いが期待したい。
田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。