
【田村修一の視点】2025年6月8日 J3リーグ第15節 栃木シティvsギラヴァンツ北九州
J3リーグ第15節 栃木C 1(0-0)0 北九州
14:03キックオフ CITY FOOTBALL STATION 入場者数 3,729人
試合データリンクはこちら
J3の上位対決。2位栃木Cと3位北九州の試合は、栃木Cが最少得点ながら北九州を下し、首位FC大阪の背中をとらえ続ける格好となった。
前線からのプレスとトランジション、パスの精度とスピード。選手がチームのコンセプトを十分に理解し実践している点において、栃木Cは成熟したチームである。3年前に就任した今矢直城監督の、ブレることのない理念を選手たちが体現している。この日もスタートからボールを支配し、北九州に退場(32分)があったとはいえつけ入る隙をほとんど与えなかった。
ただ、今後に向けてはさらなる進化の余地がある。コンビネーションの精度とスピードはさらに上げられる。また74分に決勝点を決めたピーター・ウタカの決定力を、ウタカ不在の時間帯にチームとしてどう具現化していくか。成長が楽しみでもある。
一方、敗れたとはいえ北九州は、劣勢の戦いを強いられるなか、勝ち点1を奪い取るためのプレーを、最後まで惜しみなく披露した。後半は5バックに変更し、低い位置にブロックを敷いて栃木Cのサイド攻撃を制限し、ゴール前に厚みを築いて決定機をなかなか作らせなかった。頼みの綱のカウンターアタックに回す余力がなかったのは、致し方がなかったかも知れない。それでも手応えを得て北九州に戻れるのは、成果であるといえる。
田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。