
【六川亨の視点】2025年6月8日 J2リーグ第17節 RB大宮アルディージャvs愛媛FC
J2リーグ第17節 大宮1(0-0)1愛媛
14:03キックオフ NACK5スタジアム大宮 入場者10,527人
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前線からのプレスに加え、自陣からていねいにパスをつないでビルドアップする攻撃で試合の主導権を握ったのは最下位の愛媛だった。しかし2位の大宮も素早い攻守の切り替えから愛媛にスペースを与えず、その攻撃を無力化したあたりはさすが。試合が動いたのは後半11分、村上悠緋が直接FKをねじ込んで均衡を破る。愛媛にとっては、この試合初のビッグチャンスをモノにしての先制点だった。しかし長澤徹監督も、「この失点をきっかけ」にオラリオ・サンデー、豊川雄太、中山昂大の3枚代えを敢行。前線にオラリオ・サンデー、豊川、杉本健勇を並べる3トップで反撃に転じた。すると30分には下口稚葉の左クロスを逆サイドでフリーだった杉本が受け、ワントラップからシュート。至近距離からの一撃に誰もが決まったと思ったが、杉本はシュートを右に外してしまう。その後も大宮の攻勢が続いたものの、決定機を迎えてもシュートをゴール枠に飛ばすことができないじれったい展開が続いた。
このまま愛媛が逃げ切るかに思われた90+1分、下口の左クロスをファーサイドの豊川がヘディングによるコントロールシュート。GKを越えたボールは左スミに吸い込まれ、土壇場で大宮が失いかけた勝点1を拾うことに成功した。ここまで試合数が1試合少ない大宮は、2点差以上の勝利で首位の千葉と同勝点ながらトップに躍り出る可能性があった。残念ながらドローにより首位奪還とはならなかったが、勝点2差に詰め寄った意義は大きい。一方、成績不振から監督が交代した愛媛は、前節の鳥栖戦(2-2)に続き2試合連続のドロー。大宮戦も、ボールは握れるものの相手の堅守を崩すまでには至らず勝ち味が遅いというジレンマをどう解消するか。それでも大宮と互角に渡り合った試合内容は、今後の戦いに向けて自信につながることを期待したい。
六川亨(ろくかわ・とおる)
東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。