【六川亨の視点】2023年2月26日 J1リーグ第2節 柏レイソルvsFC東京
J1リーグ第2節 柏1(1-1)1FC東京
15:03キックオフ 三協フロンテア柏スタジアム 入場者数12,833人
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両チームとも勝点3を目ざして激しい肉弾戦を演じた。試合の主導権を握ったのは、昨シーズンの主力がほとんど残ったFC東京だ。柏は右SB片山瑛一、中盤の高嶺朋樹、山田康太、仙頭啓矢らは今シーズン移籍してきたばかり。このためネルシーニョ監督も「レイソルに来てまだ間もない。今日で2試合目。クオリティーがあり戦術理解度も高いので、チームとして、個人として成熟していくのはこれから」と割り切っていた。
それでも先制したのは劣勢だった柏だった。FWマテウス・サヴィオのタテパスに反応したFW細谷真大がワンタッチシュートでGKヤクブ・スウォビクの股間を破った。ワンチャンスを確実にモノにする、ストライカーらしい一撃だった。しかしFC東京もすぐさま反撃し、柏DF陣の集中力の途切れた一瞬のスキを突いてFWアダイウトンが同点ゴールを突き刺した。
後半は風上に立ったこともあり、FC東京が前線から圧力を強めたためワンサイドゲームを展開。3度の決定機を作ったものの、シュートに正確性を欠いて柏ゴールを割ることができない。MF松木玖生をU-20日本代表で、MF安部柊斗とFW仲川輝人を負傷で欠いたため、ドリブラー不在で攻撃に変化がなかったのが、FWディエゴ・オリベイラとアダイウトンの負担になっていた。
そして後半37分、右SB中村帆高が2枚目のイエローカードで退場処分になると試合は別の顔を見せる。アルベル監督はアダイウトンに代えてSB長友佑都を投入し、守備の立て直しを図った。さらに後半アディショナルタイム+5分、CBエンリケ・トレヴィザンが右足を痙ってしまいプレーを続行できなくなる。幸い、開幕戦はケガで欠場したキャプテンの森重真人がベンチにいたため、ベテラン2人の登場により「アウェーで勝ち取った勝点1は重要で価値あるもの」(アルベル監督)にすることができた。
一方、ホームのネルシーニョ監督も「前からプレッシングを受けたが、いい内容の試合ができたのではないか。結果、しっかり勝点1を取ることができた」と負けなかったことを高く評価。両監督とも納得のドローゲームだった。
六川亨(ろくかわ・とおる)
東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。