【六川亨の視点】2022年4月10日 J1リーグ第8節 FC東京vs浦和レッズ
J1リーグ第8節 FC東京0(0-0)0浦和レッズ
14:02キックオフ 味の素スタジアム 入場者数22,429人
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浦和はここまで試合内容はいいものの、勝ちきれずに2勝3分け4敗で8位に甘んじている。対するFC東京は第6節で横浜FMに完敗(1-2)したが、続く第7節では神戸に完勝(3-1)して1試合少ないながら5位につけている。そんな両者の激突はスピーディーでスリリングな展開から「お互いに勝利を目指した拮抗した試合。どちらが勝ってもおかしくないが、引き分けが妥当な結果」(アルベル監督)に終わった。
FC東京は神戸戦に続いて右FWの永井謙佑と右SB渡辺凌磨がサイドアタックを仕掛ける。対する浦和は左SB明本考浩と左MF小泉佳穂がマッチアップする形で応酬した。永井が快足ドリブルで明本を振り切ったシーンでは、浦和番の記者が「あの明本が振り切られた」と驚嘆する。前橋育英高校時代はチームメイトで、高校選手権では準優勝した渡辺と小泉の親友同士の攻防もほぼ互角。そして逆サイドでは長友佑都と酒井宏樹の日本代表によるベテラン対決が火花を散らしていた。
試合は0-0のドローに終わったが、残念だったのは渡辺が後半29分に負傷退場を余儀なくされたことだ。渡辺は担架に乗っての退場だったため、膝を傷めた可能性が高い。しかし主審は松尾佑介のアタックに笛を吹かず、スローインでプレーを再開した。それ以前にもセットプレーの競り合いから森重真人が頭部に打撃を受けて倒れても、主審は反則を取らず、一度はプレーを止めて森重の負傷具合を確認しつつ、クリアを拾った浦和のドロップボールでプレーを再開した。試合終盤には森重のロングキックにキャスパー・ユンカーがアフターチャージで森重を蹴り倒した。さすがにこのプレーはユンカーの反則を取ったものの、イエローカードはなし。
両チーム合わせて直接と間接のFK20本は、だいたい平均的な数字だろう。しかし反則を取らなかったが、両チームの選手が倒れるシーンの多かった印象が強い試合でもある。「タフに戦う」ことは必要だが、それがケガを誘発してはレベルアップにつながらない。このため主審には、反則に対して毅然とイエローカードを出して、せっかくの好勝負を上手くコントロールして欲しかったというのが率直な感想だ。
六川亨(ろくかわ・とおる)
東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。