【六川亨の視点】2022年4月20日 J1リーグ第2節 FC東京vs名古屋グランパス
J1リーグ第2節 FC東京0(0-0)0名古屋グランパス
19:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者数11,214人
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ホームのFC東京は、前2試合の札幌戦と浦和戦で失点の危機に陥りながらもGKヤクブ・スウォビィクの好プレーで無失点にしのぎ、0-0のドローで終えた。対する名古屋も17日のアウェー鹿島戦は決定機を作られながらも、GKランゲラックの好守から0-0でしのいだ。GKが活躍すれば試合が“締まる”見本のような試合だった。
そして迎えた20日の試合はJ1リーグ第2節。新型コロナウイルスの影響で延期された2月26日の試合が水曜のナイターに組まれた。FC東京はアウェー札幌戦から中3日、名古屋は中2日。そして両チームとも中2日後の23日にはルヴァン杯のグループリーグが控えている。そうした状況でも両チームは現在のベストメンバーをスタメンに送り出した。
長谷川健太監督にとっては勝手知った古巣との初対戦でもある。試合後の対面での会見では明言を避けたが、攻略ポイントはFC東京の右サイドと想定したのではないだろうか。SB渡邊凌磨は攻撃が持ち味で、アルベル監督は右SBだけでなくトップ下や左右のサイドアタッカーでも起用してきた。そこで長谷川監督は3-5-2の布陣から、左ウイングバックのドリブラー相馬勇紀と左インサイドハーフの仙頭啓矢で攻略しつつ、右ウイングバックに起用したベテランの吉田豊には「逆サイドからのクロスにはゴール前に入っていく」(吉田)ことを指示したのだろう。
しかしアルベル監督が右SBに起用したのは、「右サイドバックも楽しい。なんでオレ、右でやってこなかったと思う」と新境地を楽しんでいるベテランの長友佑都だった。長友と安部柊斗による迎撃はかなり激しいぶん、逆サイドの吉田と左SB小川諒也のマッチアップはほとんどなかった。
かくして試合は両チームともチャンスとピンチを迎えながら0-0で終了した。連戦での疲労に加え、2日後にはルヴァン杯もある。ベストメンバーでスタートした試合は、両チームの指揮官とも次の試合を見据えて積極的な選手交代から勝点3を目ざしたものの引き分けに終わった。ゴールの応酬というスリリングな展開からのドローなら、スタジアムに足を運んだファン・サポーターも楽しめたかもしれない。それでも見所の多い試合でもあった。
六川亨(ろくかわ・とおる)
東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。