【森雅史の視点】2022年7月3日 J2リーグ第24節 東京ヴェルディvsFC琉球
J2リーグ第24節 東京ヴェルディ 2(1-1)1 FC琉球
18:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者数 2,520人
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開始早々の2分、先制点を奪った琉球は前半、ラインを後ろに下げると体を張って守り続けた。そして野田隆之介をターゲットにして速攻を仕掛ける。あわよくばというシーンを作ったが、ナチョ・フェルナンデス監督は下がりすぎている危険性を感じ、度々野田を呼んだり、あるいは野田が監督に守備について確認していた。
この試合のターニングポイントは、そんな中で生まれた東京Vの同点ゴールだった。佐藤凌我がクロスにヘディングで合わせて振り出しに戻す。もしこの1点がなければ、琉球の選手たちは下がって守っていても破られないという自信を得、後半もカウンターに賭けられたかもしれない。しかしセットプレーに対する弱点をこの日もさらけ出したことで、後半はもっと高い位置でボールを追うように変わった。
ところがそのためにラインの間が空き、セカンドボールを東京Vが支配することになってしまった。「もっとラインを押し上げてコンパクトにしなければいけなかった」と野田は振り返る。「安易な横パスや無理なショートパスを変な取られ方してピンチになっています。そこをしっかりスペースを使おうということは話はしているのですが、まだできていません」と新監督の戦術に適応中だと語った。
それでも琉球の選手たちのボールの前に体を投げ出す守備は感動的ですらあった。「そこは負けたくないという気持ちが出ていたと思います。勝利のためにみんな頑張ったと思います」。依然J2の最下位に沈む琉球だが、まだ気持ちは折れていない。監督の求めることがいつできるようになるか。その時期が今季の分かれ目になりそうだ。
森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート