【六川亨の視点】2022年4月2日 J1リーグ第6節 横浜F・マリノスvsFC東京
J1リーグ第6節 横浜F・マリノス 2(1-1)1 FC東京
19:03キックオフ 日産スタジアム 入場者数20,823人
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昨シーズンの11月6日、J1リーグ第35節でのこと。FC東京はアウェーで横浜FMと対戦したが、前半20分と39分に森重真人が警告を受けて退場処分となった。試合は前田大然のハットトリックなどで横浜FMが8-0の大勝を収める。シュートは22対4、CKも9対1と文字通りの完敗で、長谷川健太監督はこの試合後に辞任した。
あれから約5ヶ月、キャプテンに復帰した森重は当時の試合について「もう終わったことは仕方ないので、振り返っても意味はない。新しく取り組んでいることにフォーカスしたい」と過去を封印した。
試合は互いにカウンターの応酬となる行き来の激しい展開となった。「ポジショナルプレー」を掲げてFC東京の監督に就任したアルベル監督だが、そう簡単にチームのスタイルを変えることはできない。リーグ戦はここまで3連勝を飾っているものの、試合内容は相手に押し込まれることが多く、耐えて勝ちを拾っているような、運を味方につけての3連勝でもあった。
しかし横浜FM戦は前線からの連動した守備によるパスカットやボール奪取からショートカウンターを仕掛け、前半はむしろ圧倒したくらいだ。「新しく取り組んでいること」の一端は披露できた。しかし決定機を決めきれずにいると、後半は横浜FMのカウンターに決勝点を奪われ今シーズン2敗目を喫した。試合内容が低調でも勝つことがあれば、善戦しても結果が出ないこともある。これもまたサッカーの難しさと言っていいだろう。
次節の相手はいまだ未勝利で17位に沈む神戸だが、ロストフから橋本拳人が加入した。味スタでどのような“歓迎”を受けるのか、試合はもちろんこちらのほうも楽しみだ。
六川亨(ろくかわ・とおる)
東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。