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【森雅史の視点】2021年12月12日第101回天皇杯準決勝 川崎フロンターレvs大分トリニータ

天皇杯準決勝 川崎フロンターレ 1(0-0、0-0、0-0、1-1、4PK5)1 大分トリニータ
14:00キックオフ 等々力陸上競技場 入場者数17,575人
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もしPKでの勝敗が逆だったとしても、この試合はほぼ大分の思惑どおりだったと言えるだろう。序盤からアグレッシブな守備でなかなか川崎にペースを掴ませない。次第に川崎が慣れてきたものの、大分はしっかりとしたブロックを敷いていたため、川崎はいつものボールキープは見せてもリズムを変えられず苦戦を強いられる。

力は明らかに川崎が上。何度もポストを叩く場面もあった。それでも大分は焦らず耐え抜く。113分、川崎の小林悠が見事な動き出しで先制点を挙げるが、120+1分、クロスにエンリケ・トレヴィザンがヘディングで合わせて同点に追いつき、PK戦に持ち込む。

となると、試合中に何度もセーブを見せて当たっていた高木駿がそのままの流れを持ち込む。キャプテンとして臨んだPK戦前の2回のコイントスは両方勝ち、自分たちのサポーターに近いほうのゴールで、勝率が高いと言われる先行を選んだ。

大分には幸運も味方したかもしれない。だが、勝つだけの必然性は十分にあった。

 

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート