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【森雅史の視点】2021年4月24日J1リーグ第11節 FC東京vsサガン鳥栖

J1リーグ第11節 FC東京 1(1ー2)2 サガン鳥栖
14:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者数4,914人
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鳥栖が1点を奪った後の34分、鳥栖の樋口雄太からペナルティエリア付近の酒井宣福にスルーパスが出る。酒井が抜け出そうとしたところでFC東京の渡辺剛と交錯。だが松尾一主審はファウルを取らず試合をそのまま流した。VTRを見ると酒井の後ろ足を渡辺が払う形になっており、ファウルはあったはずだ。だがVARが介入することもなかった。それはなぜか。

まずペナルティエリアの中でのファウルだったらPKとなる。だが場所はペナルティエリアの外だった。では酒井が抜け出したらシュートチャンスがあったと考えると、DOGSO(Denying Obviously Goal Scoring Opportunity)ということになり、渡辺にはレッドカードが出されるはずだ。しかしながら、酒井にはジョアン・オマリも接近していて、抜け出したところでシュートが打てたとは限らない。

となると、ファウルはあった。この点について主審は間違った可能性が高い。しかしPKでもなければ退場でもない。となると、VARが介入する条件
・得点かどうか
・PKかどうか
・退場かどうか
・人間違いではないか
の4条件に当てはまらず、VARは介入できない。そのため試合はそのまま流れた。VAR介入条件を確認するのにいい事例だったと言えるだろう。

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート