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【田村修一の視点】2025年8月16日 J2リーグ第26節 ジェフユナイテッド千葉vs徳島ヴォルティス

J2リーグ第26節 千葉1(0-0)0徳島
19:03キックオフ フクダ電子アリーナ 入場者数 15,222人
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J2屈指の攻撃力を誇る千葉と、最強の守備でここまでわずか13失点の徳島。リーグ2位対3位の上位対決は、今後の優勝戦線を占う大一番であったと同時に、矛と盾の戦いでもあった両者の勝負は、65分に一瞬の隙を突き徳島のオウンゴールを誘った千葉に凱歌があがった。

 

千葉の小林慶行監督は、勝利から遠ざかった時期に失った攻守のバランスを、リーグ中断期間中の練習で整えることができたと語った。守備におけるハイプレスとミドルプレスのメリハリ。攻撃におけるそれぞれの役割の整理は明確となり、リーグ後半戦を戦ううえでのバランスを取り戻したといえる。

 

もちろん改善すべき点もある。イサカゼインの加入で、両サイドからの攻撃は再び強力な武器となったが、サイドだけに攻撃を特化すれば相手も対策を立てやすい。中央??起点を作れないトップの弱さをどう解消するかが、勝ち残るための課題になるだろう。

 

ゴール前の決定力に関しては、戦術ではなく個の能力と小林監督は言い切った。チーム戦術はピッチ上ですでに表現されている。選手が能力を伸ばす――これをやっていれば伸びるという環境を整えることが、監督のマネジメント能力であると。それこそがシーズンを勝ち切れるチーム、さらには常に優勝争いを演じられるチームになるための、監督に課せられた課題に他ならない。

 

他方、敗れた徳島も決して守備一辺倒ではなかった。前半は千葉の攻撃を受け止め、生じた隙をついてのカウンター攻撃でチャンスを作り出し、後半は選手交代で攻撃を活性化し、幾度となく千葉のゴールに迫った。GKホセ・スアレスをはじめとする千葉の粘り強い守備がなければ、結果はひっくり返っていてもおかしくはなかった。優勝争いに絡めるチームであることを、証明した試合だった。

 

 

 

 

田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。