「予算の少なさがストロングポイントに」大分トリニータ強化部長が語る来季の移籍戦略と展望【直撃インタビュー】
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「予算の少なさがストロングポイントに」大分トリニータ強化部長が語る来季の移籍戦略と展望【直撃インタビュー】(J論プレミアム)
各カテゴリーがシーズン最終盤を迎える中、それぞれのクラブの置かれた状況に応じて、強化部はすでに来季へと走り出している。今年のストーブリーグはどう動くか。
今季J2から昇格し、リーグ最少予算ながら上位争いに絡み続けた大分のノウハウも気になるところだ。シーズン序盤こそ彗星のように順調に勝点を積み上げたが、折り返し後は対戦相手からのスカウティングが進み、苦しい展開を強いられる試合も多くなった。目標としていた残留は果たしたものの、来季はどう戦っていくのか。大分がJ3陥落して苦しんだ2016シーズンから強化部長としてチーム編成にあたる西山哲平氏に話を聞いた。
(取材・構成・写真/ひぐらしひなつ)
■片野坂監督体制5年目でもチームが日々アップデートされている
――11月19日、まだシーズン途中にもかかわらず、片野坂知宏監督の来季続投が発表になりました。
J1残留が確定したタイミングで、来季続投について具体的にオファーしました。そこからの決断は早かったですね。評価ポイントとしては、まずは今季目標としていたJ1残留を達成してもらったこと、それもシーズン4試合残してという戦績上のこと。さらに、勝つだけでなく内容的にも積み上げて、チーム自体も進化しているという点です。
――来季は片野坂監督体制5年目となりますが、難しさはないのでしょうか。
数年でターニングポイントが訪れると言う人もしばしばいますが、僕の判断では、トレーニングを見た中で、チームが生きている感触があるので。マンネリに陥ることなく、日々やっていることがアップデートされているんですね。それだけコーチングスタッフも勉強していて、たとえば相手に対策されたときに、またそれを上回る何かを見出す。そういう進化を感じるので、チームが停滞するイメージは持っていないんです。
■予算の少なさがストロングポイントになっている
――クラブの経営危機の後処理であるファンドの買い戻しが終わりましたが、来季の強化費は増えそうですか。
予定としては増やすことになっているので、いま在籍している選手たちを慰留するためにも、ある程度のことをしていきたいと考えています。むしろ補強よりもそちらが先決ですね。そういう意味でも監督続投が決まったことは非常に大きな材料になると思います。
――強化費が増えたら、リーグ最少予算というのは脱却しそうな額になりますか。
いや、しないと思います。変わらず最少予算です。
――少ない予算で、もっと予算のあるチームより上位につける戦績を出せたキーポイントは。
J3で1年間戦ったことがいいことかどうかというのは別なんですが、そこからの積み上げが現在につながっていると、僕は信じているんですね。ウチの強みはそこなのかなと。選手の入れ替わりは当然ありましたけど、チームとしてのやり方は積み上げることが出来ていると思うので。4年間で築き上げたものが、いま形となって現れているのかなと。
ウチは、工夫するという点では確実に他クラブに負けていないと思うんです。個の力頼みではない。予算的にそうせざるを得ない状況なんだけど、それが実はウチのストロングポイントで、やりがいでもあるし、面白みでもあると思います。仮にもっとお金を使えるようになったとしても、グループでの崩しやアイデアについては、ずっとそういうスタイルでいきたいと思いますね。
■広がるクラブ間格差。弱肉強食の色はますます濃く
――ここ最近、クラブ間格差は広がる一方のように見えますが。
多分、弱肉強食の色はますます濃くなっていくのかなと思います。だから引き抜きの可能性も、いままで以上にあるのかなと。
――結果を出しただけに、他クラブから選手たちにオファーがたくさん届くのでは。
それは十分に予想されますよね。ただ、選手たちに伝えたいのは、ウチのサッカーの喜び。お金だけじゃないところを説いていくしかないのかなと。そしてまた素晴らしい監督の下でプレーできるというところは強調したいです。
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