「好き」は最後にどこに行ってしまうのだろうか(えのきどいちろう)
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「好き」は最後にどこに行ってしまうのだろうか(えのきどいちろう)(J論プレミアム)
『タグマ!サッカーパック』の読者限定オリジナルコンテンツ。『アルビレックス散歩道』(新潟オフィシャルサイト)や『新潟レッツゴー!』(新潟日報)などを連載するえのきどいちろう(コラムニスト)と、東京ヴェルディの「いま」を伝えるWEBマガジン『スタンド・バイ・グリーン』を運営する海江田哲朗(フリーライター)によるボールの蹴り合い、隔週コラムだ。
現在、Jリーグは北は北海道から南は沖縄まで58クラブに拡大し、広く見渡せば面白そうなことはあちこちに転がっている。サッカーに生きる人たちのエモーション、ドキドキわくわくを探しに出かけよう。
※アルキバンカーダはスタジアムの石段、観客席を意味するポルトガル語。
「好き」は最後にどこに行ってしまうのだろうか(えのきどいちろう)[えのきど・海江田の『踊るアルキバンカーダ!』]十二段目
旭川にやって来た。北海道には子どもの頃、住んでいたことがあるのだが、旭川は初めてだ。人気の旭川動物園や山頭火本店が目当てだったらどんなにいいかと思うけれど、あいにく喪服に黒ネクタイである。仲間の葬儀に出席するのだ。僕の公式ツイッターの中の人をやってくれてた吉岡信洋さんが何の前触れもなくあの世に旅立ってしまった。文字通りの「突然死」ってやつだ。
他人行儀だからヨシオカと呼ぶ。まだ46歳だ。独身のひとり暮らし。ラジオのフリーディレクターで、えのきど公式ツイッターの中の人は完全なボランティアだった。ヨシオカを知るHBCラジオ、斉藤こずゑアナは彼の死を番組内で話してくれたそうだ。そうしたらヨシオカの幼なじみという方から番組宛にメールが来た。
その方は今は旭川を離れているのだった。だが、番組を聴いて確信を持った。間違いなく幼なじみの「ヨシオカ君」だという。小学校2年生の「ヨシオカ君」はテレビの仕事に憧れていて、地元局のプレゼントでもらった番組名入りのボールペンを得意気に持ち歩いていたそうだ。だから大人になった「ヨシオカ君」が東京でマスコミの仕事に就き、がんばっていたと聞いて、こんなに悲しい話だというのになぜか嬉しい気持ちになり、泣けてたまらなかったと結んであった。
今月のコラムテーマは先月書いたもの(新潟からの帰り道、サッカーの敵は姿を現した(J論プレミアム))の掘り下げである。「好き」は最後にどこに行ってしまうのだろう。当コラムを読んでくださってる方ならわかってくれると思うが、「好き」はその人の全部だ。「好き」でやってることしか実現しない。「好き」でやってることしか人に届かない。「好き」を失ったら人間はたぶんどこか壊れてしまう。ヨシオカは子どもの頃から放送の仕事が好きだったのだ。いや、「仕事」はわからなかったと思うから放送が好きだった。短い半生、それをひたすら追いかけて、走り抜けてしまった。その「好き」は一体、最後にはどこへ行くのか。
以前、FC東京サポの葬儀に出席したときのことを思い出した。まだ30代だった。とても活動的な奴だった。いつもチームのため、クラブのために動き回っていた。彼も突然死だ。仕事は通信会社の大手だったと思う。忙しすぎたのかもしれないな。葬儀は確か三鷹か立川あたりのセレモニーホールだった。そこで僕は忘れられない体験をする。
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