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テーマアギーレ監督更迭。果たしてその決断をどう見るべきなのか?

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歩く蹴球事典・後藤健生

2015 02/05  13:26

不可思議な解任時期だが、後任人事は焦るな。「6月」まで視野に入れて最適の人材を探すべし

ハビエル・アギーレ監督が解任された。アジアカップの早期敗退を巡る引責ではなく、あくまで「八百長疑惑」による日本代表チームへの悪影響を懸念しての交代だった。果たしてこの決断はどう見るべきなのか。今週の『J論』では複数の識者があらためてこの問題に切り込む。二番手に登壇するベテラン記者・後藤健生は、不可解な解任のタイミングについて推測を述べつつ、あるべき「後任人事」を思う。



▼不可思議な解任理由とタイミング
 アジアカップで準々決勝敗退に終わった日本代表。最大の責任はUAE戦で35本もシュートを打ちながら1点しか奪えなかった選手たちにある。監督が悪いわけではない。

  しかし、前回のコラム(「心理的なワナのあったUAE戦。僕はアギーレ監督の用兵に「ノー」と言いたい」)にも書いたように、監督にも責任はある。まず、試合の入り方のミス=しっかり選手に注意喚起できなかったこと。それから、延長に入ってから攻撃力を上げ るための戦術変更ができなかったこと。そして、そもそもグループリーグで先発を固定し手戦ったために疲労を蓄積させてしまったこと。これらはいずれも監督 の責任だ。

 つまり、大会を通じてアギーレ監督はとくに大きな失敗をしたわけではないし、バランスの良いチームを作っていたが、前監督時代のチームをうまく運用したにすぎない。一方で、とくに水際立った采配を見せたわけでもなかった。それなら、八百長問題という「時限爆弾」を抱えているアギーレ監督にいつまでもこだわる理由はない。「成績不振」を理由に交代させてしまえばいいのではないかと僕は考えていた。

 結局、日本 サッカー協会の大仁邦弥会長は2月3日になってアギーレ監督を解任(契約解除)したことを発表したのだが、理由は「成績不振」ではなく、あくまでも八百長問題だった。2月2日の夜になって、スペインの裁判所が検察庁からのアギーレ監督に対する告発を受理したことが確認できたからだという。

 しかし、「裁判所が告発を受理した」と最初に報道されたのはアジアカップが始まったころ、つまり3週間も前のことのはずだ。なんで今ごろになってそのことが確認できたのだろうか。日本協会は、これまで本気で告発の受理を確認しようとしていたのか?

「実は、本気で確認などせずに様子を見ていたのではないか」という気がするのである(これは、何の根拠も証拠もない、僕のただの邪推である)。

  もし、アジアカップで連覇でもしていれば、今ごろアギーレ監督は「名将」としてもてはやされていることだろう。そうなっていれば、たとえ告発が受理されたことが確認されたとしても「有罪が確定したわけではない」とか言って交代させなければいい(それは、正論だ)。だが、たまたま準々決勝で負けてしまったの で、大仁会長はアギーレに見切りを付けて告発受理を確認して解任を発表した......。

 真相はそんなところなのではないか。そう考えれば、2月3日に解任というタイミングの説明もつく。

 結局、「アギーレ監督の手腕は高く評価する」とか言っているが、協会も(大仁会長も)アジアカップの結果で解任を決めたのではないか......。

 では、なぜ「成績不振」を理由にしなかったのか? それは、監督の力量を問題にしたら、アギーレ監督を連れてきた原専務理事や霜田技術委員長の責任問題になってしまうからだ。

 というわけで、会長自身を含めて役員の処分はするというはいうものの(たぶん「報酬や給与の減額何か月」といった処分だろう)、原、霜田の両氏は責任を取って辞職することもなく、再び彼らが新監督選びをすることになる。

▼焦る必要はない後任選び
 問題は、その新監督探しである。

  現在、ヨーロッパはシーズンの真っ盛り。そして、Jリーグは開幕直前というタイミングだ。外国人監督にするにせよ、日本人にするにせよ、有力指導者のほと んどは現時点ではどこかのクラブに所属しているのだ。そうなると、たまたまどことも契約していないフリーの人の中から人選を進めるのか、それとも、オシム 監督と契約したときのように、どこかのクラブの監督を強奪してくるのか......? 

 W杯予選が6月に始まるというので危機感を募らせる向きもあるが、それはあまり気にしないでいいだろう。

  6月に始まるのは最終予選ではなく、1次予選だからだ。16カ国参加のアジアカップですら上位と下位の実力差がはっきりしていたのがアジアの現実。まして、40カ国も参加する1次予選で日本が負けることはほとんど考えられない。6月まで時間をかけてしっかりした新監督を決めたら、1次予選の試合を強化の ためのテスト・若手発掘の場として有効に使っていけばいいだけだ。

 拙速な決定だけは避けてほしいものである。

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続けており、74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授。

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