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論コラム週替わりのテーマについて有識者が物申す!

テーマ敗退。コロンビア戦を受けて、日本サッカーが考えるべきこと

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ミスター観戦力・清水英斗

2014 06/28  14:09

あえて問う。「優勝宣言」は本当にチームにとって必要なものだったのか?

3戦を終えて、1分2敗。勝利の美酒に一度も酔うことのないまま、日本代表はブラジルの地を去ることとなった。この結末を受けて、何を考えるべきか。週替わりに複数の論者が一つのテーマを語り合う『J論』では、「敗退。コロンビア戦を受けて、日本サッカーが考えるべきこと」と題して、この問いについて議論したい。4番目の論者は、ミスター観戦力・清水英斗氏。議論を呼んだ「優勝宣言」について、終わった今だからこそ問い直す。



▼本田の強さは例外ではないか
 ザックジャパンの大会総括として、あえてこのテーマを取り上げたい。

『「目標はW杯優勝」という宣言は、正しいアプローチだったのか?』

 このテーマについて筆者が最後に書いたのは、昨年10月に行われたセルビア&ベラルーシ遠征のときだった。WEBサイト『cakes』で連載中の『居酒屋サッカー論』の中では、「高すぎる目標設定と現実が乖離しているため、ひとつのミスを犯すたびに自分を許せず、イライラ、焦りが増幅する。そうやって目の前のプレーに対する集中力を欠いているのではないか」と指摘させてもらった。

 今回、ここで「W杯優勝」の発言の是非を問いたいのは、あくまで競技パフォーマンスに関わる話だ。この発言を公に繰り返すことが、チームのメンタル強化、パフォーマンス向上として正しいアプローチだったのか?

 夢は必要とか、現実を見ろとか、ファンを勘違いさせるとか、世界のサッカーに対して傲慢であるとか、ここで議論したいのはそのような外部に対する話ではない。あくまでも優勝宣言をすることが、チーム内部のメンタリティーとして適当だったのか否かだ。

 ものすごく難しい目標を掲げることで、自らに強いプレッシャーをかけ、それを原動力として理想に近づけて行く。本田圭佑にとっては、育成年代の頃から慣れ親しんだメンタリティーだろう。実際、本田のプレーはW杯という過緊張になるような舞台においても、通常か、少なくとも直近の3つの親善試合を上回るパフォーマンスを発揮した。

 しかし、同じようなことがチーム全体として起きたとは考えにくい。

 最も気になるのは、対戦相手、スコア状況といった外部要因に対してチームが揺れ、落ち着いて対応できなかったことだ。もちろん、そこにはザッケローニ監督の采配も影響しているが、選手たち自身の問題も大きい。たとえばコートジボワール戦で1-0になった後に、急にプレーが消極的になったり、あるいは10人のギリシャに対してリスクを恐れたり、あるいは勝てば充分チャンスがあるコロンビア戦で、まるで無理矢理にでも攻めなければ1点も取れないチームであるような背水のアタックを仕掛けてカウンターを食らったり......。

 状況への対応力という面で、日本はあまりに幼かった。

 グループDの第3戦、イタリアとウルグアイの試合は、イタリアが引き分け以上で勝ち抜け、ウルグアイは勝利のみで勝ち抜けるという状況だったが、イタリアはシステムを5バックに変更して強力なウルグアイの2トップに冷静に対応。一方のウルグアイも、勝つしかないからといって、無理に攻め急ぐことはなく、後半になってもじわりじわりとサイドチェンジを使ってイタリアを追い詰めていった。

 そこには日本の戦術的な未熟さと共に、『W杯優勝』という結果ベースの目標に振り回された要因があったのではないかと筆者は考えている。

▼結果主義が生む焦燥感
 本大会前に、WEBサイト『サカイク』では、メンタルトレーナーの辻秀一先生を取材させてもらった。そのとき、レスリングの五輪3大会連続金メダリストである吉田沙保里選手の面白い話を聞いた。吉田選手は14連覇を果たした世界選手権の中で、残り3秒の時点で負けていたが、最後の最後に逆転勝ちを成し遂げた試合があったそうだ。

「そういうときは焦らないんですか?」という質問に対し、吉田はこう答えたそうだ。「なぜ、焦るんですか? 一生懸命にやっていれば、残り3秒でも何でも、いつも一緒ですよ。今に生きるということだけを意識していればいいんです」。14連覇という安定したパフォーマンスは、このような普遍のメンタリティーの上に成り立つものだった。

 なぜ、1-0でリードしながら不安になるのか?

 なぜ、残り時間がなくなって焦るのか?

 なぜ、90分で勝てばいい試合の前半から、背水のアタックを仕掛けてしまうのか?

『優勝』という結果ベースの目標に振り回されたから、スコアや状況に対して焦ってしまったのではないか。そうではなく、その瞬間、その一瞬に、日本代表の選手であること、サッカー選手であることに、狂気と言えるほどの喜びを感じて溌溂とプレーする。結果はその後についてくるものであって、目指すべきは、一戦一戦、一瞬一瞬を全力でプレーすることだけ。そしてハッと気付いたときには、本当に優勝しているのかもしれない。個人的には、そういうチャレンジそのものを溌剌と楽しむ日本代表の姿が見たい。彼らのプレースタイルには、そういうメンタリティーが合っていると思うのだ。

 僕はミックスゾーンで会うたびに、今野泰幸に聞いた。「この素晴らしいチャレンジを楽しんでいるか?」と。しかし、彼は即答する。「いや、楽しんでいる余裕はないです。とにかく勝たなければ。言い訳はできない」と。僕はそのたびに、やり切れない気持ちになった。

 もちろん、言うまでもなく結果は大事だ。しかし、大事であるからこそ、そこにメンタリティーの源を置いてしまえば、すべてが結果に振り回されて狼狽し、冷静な対応力を欠く。W杯は、それほど強烈なプレッシャーがかかる舞台なのだ。

 本田のように、結果ベースのビッグマウスでプレッシャーをかけて、そのまま高いパフォーマンスを出してしまう選手もいるだろう。山口螢、内田篤人、川島永嗣なども、そのタイプかもしれない。

 しかし、今大会を不調のままで終えた香川真司などを見る限り、このチームのメンタリティーの源が、香川の力を引き出すものであったのかどうか、それは疑問に思うところだ。親善試合では発揮されていたサッカー少年のような香川の遊び心が、W杯ではどこかに消えて無くなってしまった。結果ベースのメンタリティーは、彼のような選手には合わないのではないだろうか。

▼代表にメンタルトレーナーを
 前述の辻先生は、日本サッカー協会のS級ライセンス受講者に対し、メンタルの講義を行っているそうだ。日本人の特徴を知り尽くしたフィジカルトレーナーだけでなく、日本人を知り尽くしたメンタルトレーナーを日本代表のチームスタッフに加えることも、今後は考えるべきではないだろうか。

 もちろん、個人個人でそうしたコーチを雇っている選手もいる。しかし、チームとしての目標設定、それに関わるモチベーションの源を育むためには、一貫したポリシーをチームで共有することが必要だろう。

 特に今後、ザッケローニ監督のような戦術肌の指揮官を迎える際には、メンタルトレーナーの必要性は、より重視すべきポイントではないかと思う。



清水 英斗(しみず・ひでと)

1979年12月1日生まれ、岐阜県下呂市出身。プレーヤー目線で試合を切り取るサッカーライター。著書に『日本代表をディープに観戦する25のキーワード』『DF&GK練習メニュー100』(共に池田書店)、『あなたのサッカー観戦力がグンと高まる本』(東邦出版)など。現在も週に1回はボールを蹴っており、海外取材に出かけた際には現地の人たちとサッカーを通じて触れ合うのが最大の楽しみとなっている。

テーマ: 敗退。コロンビア戦を受けて、日本サッカーが考えるべきこと に関するコラム
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納得(2票)

匿名(IP:107.178.43.190)

挑発的なタイトルだが落ち着いた議論だと思う。
チームにメンタルケアの専門家を置くというのは確実な手かも知れない。サッカーは選手の年齢層が若い。トップアスリート達とはいえ二十代が中心の青年団であるから、キャプテンやベテランの個人的な人格に統率を依存してしまうのは酷だ。トルシエが大会前に「今の日本代表に中山や秋田は必要ない」とチームの精神的成熟について太鼓判を押していたインタビューもあったが、果たしてその評価が正しかったのかどうか…

2014年6月28日 15:48

匿名(IP:157.192.13.225)

今回の代表はオリンピックの柔道を思い起こさせた。金以外興味がないって考え方が、1度負けると心が折れてしまい、敗者復活戦で格下の相手にあっさり負けてしまう状況を生む。当然それでも金を取れる人もいるが、本来の力を発揮できない選手の方が多かった。
香川は10番を背負った直後、非常にパフォーマンスが悪かった。そのまま沈んでいくかと思ったけど、背負い込むのを止めたせいか、途中から段々良くなっていった。香川ってのはそういう選手だと思う。何かを背負うとどんどん泥沼にはまっていく。
プロのスポーツ選手は、みんなプロになってるんだから最初から強い精神力を持っているものだと思いがち。でも実際はプロになってメンタルトレーニングをして、成績が向上する人はたくさんいる。宮里藍なんかもそう。
たかが目標だけど、こういう些細な物事の捕らえ方から何かがズレていくってのは普通に有り得ると思う。ブラジルの初戦もそうだったように。この辺を甘く考えてるのが日本人の特徴。
それからこれは後だしジャンケンじゃないでしょ。後から考察したことを後だしジャンケンとは言わない。最初から、後から前提で話してるんだから。言葉の使い方が間違ってる。

2014年6月29日 02:33

異論(7票)

匿名(IP:220.107.133.156)

「このチームのメンタリティーの源が、香川の力を引き出すものであったのかどうか、それは疑問に思うところだ」って、それぞれがプロなんだから「優勝宣言」とか関係ないんじゃない。ワールドカップと言う舞台でのプレッシャーに勝てなかっただけなのでは?

2014年6月28日 15:55

匿名(IP:165.100.146.183)

アスリートが大会に挑む以上、それがどんなレベルの大会であれ優勝を目指すのは当然でしょう。
しかもそれがプロの集団であればやはり周囲からも相応の期待を集めるのは必然ですし、公言するしないに関わらずそう言ったプレッシャーと、どう付き合うのかは最低限必要な資質だと思います。
選手それぞれにパーソナリティが違うのだから、目標に対するアプローチの仕方が違うのは当然ですが、だからと言って優勝を目標にしたからプレッシャーに負けたと言うのならば、それはプロの代表選手としてはあまりにもナイーブなのでは無いでしょうか。

それより何より代表に専属のメンタルトレーナーが帯同していない事に驚きました。
当然居るものだと思っていました。

2014年6月28日 16:39

匿名(IP:116.65.109.87)

優勝設定以前の段階で、W杯など国際大会だと確実にプレッシャーに
蝕まれるってことだと思うんですよね。
で、初戦で負けるとそのプレッシャーはさらに重みを増し、もはや
挽回不可能になってしまうと。
下部年代も含めて国際大会で初戦黒星だと焦りが増していくのが、
日本代表お馴染みの醜態になってしまっている気がします。
仮に今回の目標設定が地に足ついたベスト16だったとしても、
内容も結果も同じだったと思います。

2014年6月28日 17:57

mac(IP:49.111.214.231)

この論調は、後出しジャンケンですよ。
あまりにも、稚拙な思考に思えてしまう。どこに、着地点を決めようとそれは自由。
夢に口出ししてるようにしか思えない書き方。
もし、夢物語に乗せてしまわれただけの代表なら、サポーターなら。
あえて問わなければいけないのは、我々であるはず。
刺激的な見出しで、人に注目させたいメディアの在り方を考えた方が良いと思う。
あなたは、いつでも筆を置く覚悟はありますか?
考え方が浅いよ。

2014年6月28日 18:28

匿名(IP:119.105.170.184)

メンタルケアが必要、という主張は正しいと思うが、今大会の敗因は「優勝宣言」によるプレッシャーによるものではなく、単に対戦相手にビビって後手に回ったからだろう。特に初戦。

「このチームのメンタリティーの源が、香川の力を引き出すものであったのかどうか、それは疑問に思うところだ」これはおかしい。コートジボワール相手にビビって浮き足立った、それが今の香川の実力。コンフェデブラジル戦と全く同じ轍を踏んだだけのこと。あの時も香川はビビって良くなかった。

「香川の遊び心」が発揮されるのは格下相手だけだってこと、ドルトムントから試合見てる人にはわかってることだ。

2014年6月28日 19:20

匿名(IP:153.160.45.123)

>目指すべきは、一戦一戦、一瞬一瞬を全力でプレーすることだけ。そしてハッと気付いたときには、本当に優勝しているのかもしれない。

いや、優勝を目指さなければ優勝は出来ないと思いますよ。
まず目標設定を優勝にしたからと言って、実際のところ本気でそうなると思っていた日本人はマスコミにも選手にも居なかったと思いますけど。
「優勝」と言う目標を設定して、そこを必死で目指した上で無いとベスト16もベスト8も見えてこない。
そう言った共通理解の元の優勝宣言だと思ってたんですが、違うんですか?
だいたい優勝宣言も別に協会や誰かから強制されたものではなく、本田・長友を中心としてそう言う意識を持って戦おうと、選手個人個人から出ていた発言でしょ?
内田や遠藤辺りはそんな発言に振り回されて無かったし、現実的な目標だと思ってなんか誰も居なかったでしょ。
アントニオ猪木じゃないですけど「出る前に負けること考える馬鹿が居るかよ!!」ってやつの延長ですよ。
別にそんなものに振り回された訳じゃなく、単純に個々の実力不足からなる余裕の無さ、引き出しの少なさが勝っているのに焦って失点したり、チャンスを作っても焦ってゴールを決められない悪循環に陥らせたんだと思いますけどね。
日本があまりにもナイーブで、勝者のメンタリティを全く持ち合わせていなかった。それだけ。
そう言ったメンタル面をケアするために、メンタルトレナーを専属させるのは大賛成ですけどね。

2014年6月28日 21:04

匿名(IP:121.118.130.22)

かなり異論があります。
最初に、一部の選手が優勝を目標にすると公言したがゆえに23人全員は強いプレッシャーの元におかれたのか?、ということ。
本田さんが、長友さんが、香川さんが、遠藤さんが優勝と言ってる、胃が痛い・・・とはならないでしょう、子供じゃないんですから。
岡田ジャパンはベスト4を目標にしたせいで、プレッシャーのためにパラグアイ戦に敗北したんですか?、私はそう思ってまいせんが。
そう言えば過去「1勝1敗1分でグループリーグ突破」と言って叩かれたこともありますよね。
プレッシャーうんぬん言うならば、そもそもメディアが「目標」を聞かなければ良いだけの話で。
メンタルトレーナーの話もどうかと思います。
焦らないのは『実績を重ねた吉田沙保里』だからでしょ。
『デビュー戦の吉田沙保里』も同様だったんですか?
全く焦らない偉大なアスリートも居れば、実績充分なのに焦りまくる偉大なアスリートも居ます。
自分の論調に合うストーリーだけを抜き出すのはフェアじゃありませんね。
もっと言えばメンタルトレーニングやカウンセリングなどというものを過信するのはハッキリ愚かだと思います。
ACミランにもメンタルトレーナーは居ます、が、ミランの成績はあの通りで、バロテッリはバロテッリのままです。
そもそもメンタルトレーニングで解決するなら、突き詰めれば心療内科など要らないでしょう。
私は医者ですが、それは断言します。

2014年6月30日 16:55

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