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【森雅史の視点】2025年5月11日 J1リーグ第16節 東京ヴェルディvs湘南ベルマーレ

J1リーグ第16節 東京V 0(0-0)2 湘南
15:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者数 14,801人
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前半のうちに相手を疲労させ、後半になって攻め方を変えてセットプレーで先制するとアディショナルタイムに相手のミスを見逃さず追加点を奪う。湘南の狙いがピタリとはまったゲームだった。東京Vの城福浩監督は選手の足が痙攣しそうだという情報から早めに交代して勢いを取り戻そうとしたが、この試合ではその判断が裏目に出てしまった。

 

試合の流れを追えばそうなるが、選手個人に注目してもドラマチックなゲームだった。前半は、この試合のでJリーグ通算200試合を達成した森田晃樹のショーと言ってもいい内容だった。どこにでも現れ、的確な状況判断と正確なコントロールでゲームの中心となっていた。ところが後半アディショナルタイム、相手にボールを奪われ追加点の原因となってしまう。

 

タイムアップのホイッスルが鳴ったとき、森田は膝に手を着きしばらく顔を上げられなかった。記念試合での辛い思い出になってしまったことだろう。だが、きっとこういう経験がさらに一回り成長させるに違いない。城福監督の森田に対する「森田にはボックスからボックスまでプレーする選手になってほしい」という願いは実現されるはずだ。試合中、何度も転ばされていたが、そのたびに相手選手とタッチして清々しくプレーを続けている選手なのだから。

 

 

 

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート