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【田村修一の視点】2025年5月6日 J2リーグ第14節 ジェフユナイテッド千葉vsRB大宮アルディージャ

J2リーグ第14節 千葉 1(1-1)2 大宮
16:06キックオフ 国立競技場 入場者数 49,991人
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J2首位対3位の頂上決戦は、3位の大宮に凱歌があがった。

 

前後半開始早々の得点が勝負を決めた。前半5分、デザインされたコーナーキックから豊川雄太のミドルシュートで大宮が先制する。その後も前がかりのプレスとトランジションで大宮が優位を保つが、サイドを起点とした攻撃で千葉が徐々に反撃を始めた。同点ゴールは23分。左サイドの崩しから石川大地がフリーでヘディングを決め、千葉が試合を振り出しに戻した。その後は千葉が攻め続け、大宮が守るばかりの展開になったが同点のままハーフタイムへ。

 

後半も千葉がイニシアチブを握り攻め立てたが、カウンターから53分に大宮が勝ち越しゴール。カブリーニのクロスが千葉DFの混乱を誘い、オウンゴールを誘発したのだった。

 

そこから千葉の反撃が再び始まる。だが72分の同点ゴールは得点者カルリーニョスジュニオのハンドで取り消しになったばかりか、2枚目のイエローカードで退場処分に。10人になっても千葉は攻め続けたが、最後まで大宮のゴールを割ることはできなかった。

 

大宮にとっては、順位こそかわらなかったものの千葉を5ポイント差の射程捉えた貴重な勝利だった。J2のレベル(プレーのクオリティの差を見せつけられた千葉と、それ以外のチームに対する優位性)を実感しながらリーグの3分の1を消化し、今後の課題を整理できた試合ともなった。

 

他方、敗れた千葉は、退場と2失点の場面以外は、ほぼ申し分のない内容だった。ゴールを決めきれなかったのは、ゴール前の守備を粘り強くトレーニングし続けた大宮の努力に屈したからであったが、敗れたことのダメージは決して小さくはない。これで3戦連続勝利なし。チーム状態は悪くない中での停滞感の打開は簡単ではないが、小林慶行監督は問題をすでに整理している。

 

ただ、それを解決して乗り越えられるかは別問題。目先の困難の克服や、J1昇格という短期的な目標の達成だけではない。千葉というチームが、本当の意味でJのトップになれるか、小林という監督が、本当の意味でトップの指導者になれるかという、根源的な問題が問われているように思う。

 

 

 

 

 

田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。