J論 by タグマ!

【六川亨の視点】2025年4月2日 J1リーグ第8節 東京ヴェルディvsFC東京

J1リーグ第8節 東京V2(1-1)2FC東京
19:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者26,865人
試合データリンクはこちら

 

試合後の松橋力蔵監督は89分の同点ゴールによって2-2の引き分けに終わった試合の感想を次のように述べた。「私自身、初のダービー。両チームともブーイングに、厳しい戦いだなと思った」そうだ。試合が白熱したのは“ダービー”のせいもあるが、東京Vは2勝2分け3敗と黒星が先行。対するFC東京は4試合も勝利から遠ざかり、両チームとも勝利に飢えていたのは確かだろう。このため試合開始からトップギアで攻勢を強めた。FC東京はポゼッションよりも素早い展開で前線にボールを供給し、1トップの佐藤恵允や左FW俵積田晃太の推進力を生かそうとした。一方の東京Vは強度の高い守備でボールを奪うとカウンターを発動。試合は常に東京Vがリードを奪う展開で、2-1で迎えた後半10分には染野唯月が絶好機を迎えたものの決めきることができない。城福浩監督も「3点目が取れればよかった」と悔やんだように、最少得点差が終盤の同点ゴールにより勝点3獲得のチャンスを逃した。

 

試合後のブーイングに対し、城福監督が「後半は素晴らしいサッカーをした。ブーイングは私個人に向けてのものだと思う。選手に向けてのブーイングはあり得ない」と怒気を含んだ言葉を絞り出した。その言葉どおり、東京Vは、前半は左サイドの新井悠太や山見大登が白井康介と木本恭生からボールを奪い、後半はミドルサードで齋藤功佑がボール奪取するなど1対1で“個の強さ”を発揮してカウンターの起点となった。それでも勝ちきれなかったことで、サポーターは不満を表明したのだろう。

 

対するFC東京のサポーターは、東京Vより大音声のブーイングを、ゴール裏に挨拶に来ても容赦なく浴びせた。試合終盤の劇的同点ゴールにも満足できなかったようだ。というのも、これで5試合も勝利から遠ざかり、勝点8の16位と、降格ラインの18位に沈む横浜FCとは1勝点差だ。昨シーズンも第24節から6試合未勝利と低迷したが、シーズンはまだ序盤戦。もどかしいのは理解できるが、この結果に一番ストレスを感じているのは選手かもしれない。もう少し“松橋トーキョー”の試行錯誤を見守るべきではないだろうか。

 

 

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。