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【六川亨の視点】2023年4月1日 J2リーグ第7節 ヴァンフォーレ甲府vs清水エスパルス

J2リーグ第7節 ヴァンフォーレ甲府1(0-0)0清水エスパルス
13:03キックオフ JITリサイクルインクスタジアム 入場者数11,643人
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日本代表GK権田修一、昨シーズンの得点王チアゴ・サンタナに加えベテランSB吉田豊を補強するなど、充実した戦力でJ1昇格の最有力候補と見られていた清水。しかしいざ開幕してみると、5試合連続ドロー後の第6節では群馬に1-3と初黒星を喫して勝点5の18位と出遅れている。

一方の甲府は、天皇杯こそ初制覇したものの、昨シーズンの成績は18位。指揮官も地元出身の篠田善之監督に代わったばかりなので、前評判はけして高くなかった。とはいえ篠田監督は試合前、「天皇杯で初優勝してしまったため、地元ファンの期待は高いんですよ」と打ち明ける。そしてホームでの開幕戦こそ山形に1-2と敗れたものの、続く2試合は連続ドロー後、3連勝で勝点を11に伸ばして5位と健闘。見事地元ファンの期待に応えている。

そんな対照的な両チームの対戦、「富士山ダービー」は順位通りの結果となった。

“個の強さ”で清水が甲府を押し込む時間帯はあった。しかしルヴァンカップと並行して戦うためか、ゼ・リカルド監督は「今日は守備位置を低くして、相手を引きつけてから裏を突こう。速さを生かして、北川の良さを生かそうとした」というゲームプランを選択。しかしFW北川航也とチアゴ・サンタナにロングパスを出す単調な攻撃では、甲府DF陣の身体を張った守備を崩すことはできない。甲府も決定機をなかなかつくれなかったものの、FWピーター・ウタカら前線の選手がポストとなり、前半は右MF鳥海芳樹、後半は左MF長谷川元希らによるサイドアタックの方がゴールの匂いは感じられた。

決勝点は後半37分、ウタカとFWジェトゥリオが前線からのプレスでパスコースを限定すると、鳥海が清水のバイタルエリアでパスカットに成功。鳥海からのパスを長谷川がドリブルで持ち込みGKと1対1になると、角度のないところから冷静に流し込んで連勝を4に伸ばした。

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。