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【田村修一の視点】2025年1月6日 日本女子サッカー選手権決勝 日本体育大学vs山梨学院大学

第33回全日本女子サッカー選手権決勝
日本体育大学2(0-0,1-1,延長1-0,0-0)1山梨学院大学
13:00キックオフ 味の素フィールド西が丘 入場者数1,277人
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連覇を狙う山梨学院大学と、2019年以来19度目(史上最多)の優勝を狙う日本体育大学。

 

ともに攻撃サッカーを信条とするチーム同士の対戦は、互いに相手を知り尽くした同士の一歩も退かぬぶつかり合いとなった。

 

序盤にペースを握ったのは山梨学院大学。技術の優位性を生かしてボールを支配し、ゲームを優位に進めた。だが、フィニッシュに至るまでの力強さ——個の強さ、あるいは組織によるコンビネーションの強さ——があるわけではない。前半の半ば過ぎから優位性は失われ、組織とフィジカルの力を生かし、ピッチを広く使う日本体育大学が徐々に盛り返していった。

 

得点はすべてコーナーキックから。日本体育大学の先制点(54分、大西)の後、選手と替えシステムを変えてさらに攻撃にシフトした山梨学院大学が、終了間際(89分、寺村)に同点に追いついたのは称賛に値するが、追いつかれた日本体育大学にはまったく混乱がなかった。延長に入ってもペースを握り100分には菅原が決勝点を決め、山梨学院大学に反撃の余地を与えなかった。

 

関東大学女子サッカーリーグとなでしこ1部リーグの両方に参戦する日本体育大学が、選手層の厚さと延長戦に入っても落ちないインテンシティの高さで、山梨学院大学を押し切った格好だが、どちらも自分たちが追求するスタイルをこれからも深めていって欲しい。そんなひたむきさを感じさせた決勝戦だった。

 

 

 

 

田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。