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【森雅史の視点】2025年2月26日 J1リーグ第3節 FC町田ゼルビアvs東京ヴェルディ

J1リーグ第3節 町田 0(0-1)1 東京V
19:03キックオフ 町田GIONスタジアム 入場者数6,825人
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町田は生みの苦しみか。町田はボールをつないで攻めようとするスタイルも取り入れようとしているのだが、まだ距離感が整っていない。そのためパスを出す先を探さなければならず、その間に詰められたり、蹴っても届かなかったりと自らの首を絞めた。一方の東京Vは積極的に前に出る戦い方が奏功し、町田が混乱している間に攻め込むことが出来た。町田は65分にオ・セフンを投入した後、去年までの戦い方に戻してやっとリズムが出てきた。しかし挽回するには時間が足りなかった。

 

なお、この試合の終了間際、東京Vはクリアしようとするがなかなか遠くまではじき返せなかった。ところが蹴ったボールが審判に当たってしまう。昔のルールなら審判は「石」とされたため、そのまま東京Vのゴール前でのプレーが続いただろう。しかし現在は審判に当たって攻守が入れ代わってしまうと、ボールを蹴った選手のサイドのボールとしてドロップボールとなる。このため、町田の選手たちは自陣に引き返さざるを得なくなり、そしてこの直後にタイムアップとなった。

 

町田の選手にとってみるとやりきれないのではないか、観客は怒るのではないかと思っていたが、選手は素直に受け入れ、また観客席から怒号が飛ぶことはなかった。これは日本のサッカー文化が成熟してきたことを表しているのではないだろうか。そしてこれは大いに評価していいことだろう。

 

 

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート