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【六川亨の視点】2025年2月26日 J1リーグ第3節 FC東京vs名古屋グランパス

J1リーグ第3節 FC東京3(1-0)1名古屋
19:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者14,971人
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22日の第2節から中3日とあって、FC東京の松橋力蔵監督はスタメンを5人ほど入れ替えた。37歳の森重真人、38歳の長友佑都、32歳の仲川輝人らベテランに加え、マルセロ・ヒアン(22歳)と俵積田晃太(20歳)もベンチスタートとなった。対する長谷川健太監督は「前節良かった選手を使った」とメンバー変更は35歳の永井謙佑をベンチに温存し、新加入のFWマテウス・カストロをスタメンに起用。新加入DFの宮大樹、原輝樹も2試合連続してのスタメンだった。結果はカウンターからFC東京が初スタメンの山下敬大、佐藤恵允、安斎颯真が今季初ゴール。山下は22年にFC東京に加入したものの15試合ノーゴール。23年は湘南に移籍したが、ここでも5試合に出場して無得点に終わり、ケガもありFC東京に復帰した。それでも23年と24年もゴールとは縁がなかった。そんな山下が21年に在籍した鳥栖時代以来4年ぶり、FC東京では初となるゴールを決めて、さらに佐藤もJリーグ初ゴールを決めるなど、松橋監督の采配がずばり的中した試合といえる。

 

山下のゴールは、白井康介が粘り強い守備で相手ボールを奪うとそのままドリブルでカウンターを仕掛け、左サイドの佐藤に展開。佐藤はGKを引きつけてからワンタッチでクロス。これを山下がフリーで押し込んだ。松橋監督も「2対1の状況になって、恵允がいいジャッジをしてくれた」と1ゴール1アシストの佐藤を称えた。そして3点目は右サイドで長友のスローインを受けたマルセロ・ヒアンが粘り強く前線の俵積田晃太につなぎ、彼のドリブル突破からのクロスを交代出場の仲川がシュート。これはGKにブロックされたものの、詰めていた安斎颯真が冷静に押し込んだ。松橋監督は「内容は我々が望んでいるものではない。もう少しイニシアチブを握らないといけない。守備もまだまだ整理していかないといけない」と苦言を呈した。しかし、5人もスタメンを入れ替えての完勝と、サイドでトライアングルを作り、ワンタッチプレーでプレスをかいくぐる戦略は、控えの選手にも確実浸透していることを証明した名古屋戦だった。

 

 

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。