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【六川亨の視点】2025年2月22日 J1リーグ第2節 FC東京vsFC町田ゼルビア

J1リーグ第2節 FC東京 0(0-0)1 町田
15:03 キックオフ 味の素スタジアム 入場者数29,545人
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昨シーズンのFC東京は、J1初昇格の町田にホームで1-2、アウェーでは0-3と“カモ”にされた。しかし松橋力蔵監督が就任した今シーズンは、前半を0-0で折り返しただけでなく、右サイドから厚みのある攻撃を仕掛けた。その原因は、4-3-3から3BKにシステムを変更したことで、FWオ・セフンは森重真人が、トップ下の相馬直樹と西村拓真には土肥幹太と岡哲平がマンマークで自由を奪ったこと。両WBの中山雄太と望月ヘンリー海輝には同じく両WBの白井康介と長友佑都が対処したことがあげられる。さらに町田は広島戦との開幕戦で敗れたことで、黒田剛監督は「ゼルビアのサッカーは簡単に失点しないこと。開幕戦は後半にちょっと自滅というか、かなり間延びした。改善点をこの一週間やりながら、まず前半はゼロでいく」というゲームプランがあった。

 

勝負となった後半は、両チームとも積極的な選手交代でゴールを目指した。そして後半37分、左サイドから波状攻撃を仕掛け、中山のアーリークロスにフリーとなった新加入の西村が押し込んで決勝点を奪う。素晴らしかったのは、アシストした中山のクロスだった。ボールをキープして突破を仕掛けるなど、自分が優位な状況に持ち込んでからクロスを入れるのではなく、態勢を崩しながらも早めのクロスを選択した。その結果、FC東京のDF陣は守備陣形を整えることができず、走り込んできた西村をフリーにしてしまった。

 

試合後の黒田監督は「連敗しないというのが我々ゼルビアのテーマになっている」と胸を張った。とはいえ敗れたFC東京も、開幕戦の横浜FC戦に比べれば、攻守に躍動感が出ていたのは確かで、それは交代出場した橋本拳人も認めていた。松橋監督も「ゲームの中での様々なトライとエラーが見えた次第」と手応えを感じつつ、「次につながるというか、何とか次につなげないといけない」と次節26日の名古屋戦に捲土重来を期していた。

 

 

 

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。