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【六川亨の視点】2025年2月15日 J1リーグ第1節 横浜FCvsFC東京

J1リーグ第1節 横浜FC 0(0-0)1 FC東京
14:03キックオフ ニッパツ三ツ沢球技場 入場者12,195人
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J1リーグ第1節の横浜FC対FC東京戦は、昨シーズン7位のFC東京が1年ぶりにJ1へ復帰した横浜FCを1-0で退けて“先輩の意地”を見せた。しかし試合内容はけして褒められたものではなく、新監督に就任した松橋力蔵監督が「90分間、内容のことより勝点3を取れたことがすべて」と総括した試合でもあった。その原因は、数週間前からトライした新システム、3-4-2-1にあった。自陣からビルドアップしようという意図はうかがえた。しかし狙いとするパスサッカーをしようにも、レシーバーとなる選手の動き出しが遅いため、ボール保持者はバスの出し所がなく、一人一人のボールを持つ時間が長くなるだけ。これでは連動性のある攻撃は仕掛けられない。モデルチェンジはまだ端緒についたばかりだし、前途は多難と見るべきだろう。

 

唯一、後半16分、右サイドでスローインを受けた右WB白井康介がバイタルエリア右にいたボランチの小泉慶にヨコパス。小泉は後方のボランチ高宇洋に戻すと、高はワンタッチでペナルティーエリア右のFW俵積田晃太にタテパスを入れる。すると俵積田はファーストタッチで右サイドに大きくボールを持ち出した。トラップが大きくなったのかパスだったのか判断は難しいが、そこに足を止めずパス・アンド・ゴーで走り込んだ白井がフリーでこのボールを左足でゴール左上に蹴り込んだ。この試合で初めて見せたワンタッチプレーの連続だった。

 

決定機の数、シュート数とも横浜FCが上回ったのは確かだ。しかし「1回しかないピンチを決められた」(四方田修平監督)ことで、ホームチームは敗者に甘んじることを余儀なくされた、残酷な試合でもあった。

 

 

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。