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【六川亨の視点】2024年10月13日 J3リーグ第32節 大宮アルディージャvs福島ユナイテッドFC

J3リーグ第32節 大宮3(2-1)2福島
14:03キックオフ NACK5スタジアム大宮 入場者11,274人
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前日には3位の富山が引き分けたため、首位の大宮は勝てばもちろんドローでも1シーズンでのJ2復帰が決まる。相手は今シーズンから前川崎Fのコーチだった寺田周平を監督に迎え、6位とプレーオフ圏内で健闘している福島だ。試合は手に汗握る好ゲームから、大宮が3-2で逃げ切ってJ2昇格を決めた。6試合を残してのJ2昇格は、20年の秋田と並んでJ3最速タイ記録である。

 

大宮はここまで22勝7分け2敗と圧倒的な数字で首位を快走してきた。敗れたのは第13節の松本戦(0-2)と第20節の沼津戦(1-3)だけ。前半32分には左CKから浦上仁騎が先制点を奪っただけに、大宮の楽勝が予想された。ところが福島も「我々も自動昇格を狙っている」(寺田監督)と言うだけあって、2分後にはタイスコアに持ち込む。川崎Fからレンタル中のU-19日本代表でもある大関友翔のドリブル突破から、同じく川崎Fからレンタル中のSB松長根悠仁、森晃太とつないで試合を振り出しに戻した。その後も両チームは激しい攻防を展開。福島はGKからのビルドアップによるパスサッカー、ポゼッションスタイルでの攻撃的なサッカーで、大宮はマイボールにしてからの素早い攻撃で相手ゴールを急襲と、互いに持ち味を発揮してせめぎ合った。

 

シュート数は16対15、枠内シュートは13対12という拮抗したゲームを制したのは、「福島さんを相手には殴り合うしかない。そういうゲームを選んで入っていって、1つだけ殴り勝った」(長澤徹監督)大宮であり、「最初のミッションをクリアできたのでホッとしている」とは監督に就任して1年目である長澤監督の偽らざる心境でもあるだろう。

 

 

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。