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【六川亨の視点】2024年8月31日 J1リーグ第29節 FC町田ゼルビアvs浦和レッズ

J1リーグ第29節  町田 2(0-1)2 浦和
18:03キックオフ 国立競技場 入場者48,887人
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町田にとって“聖地”は「なかなか勝てない」せいか、「前半からリスクを冒すことなく様子を見ていく」(黒田剛監督)慎重な試合の入りだった。それでも藤尾翔太が開始早々に2本の惜しいシュートを放ったが、「ドフリーで打っても入らない」と黒田監督を嘆かせた。そんな状況で試合を動かしたのが浦和の関根大輝だった。大久保智明の左FKを逆サイドでフリーとなって「狙い通りのプレー」(池田伸康監督)から先制点を奪った。

 

ところが後半に入るとナ・サンホが前半とは見違えるドリブル突破からチャンスを演出。後半4分には左サイドから狙い澄ましたクロスでオ・セフンの同点ゴールをアシストする。その後も町田が試合の主導権を握って攻め続けたが、クロスのタイミングが合わなかったり、シュートが枠を捕らえきれなかったりしてなかなか浦和ゴールを割ることができない。すると42分、大畑歩夢の左クロスを交代出場のチアゴ・サンタナが1チャンスを生かしてヘディングシュートから再びリードを奪う。さらに延長後半45+3分には自陣でのCKからカウンターを仕掛け、松尾佑介がドリブル突破からGK谷晃生もかわしてダメ押しの3点目を決めたかに見えた。ところが並走していた二田里央の不必要なファウルから松尾のゴールは取り消されてしまう。

 

そしてアディショナルタイム45+7分35秒、ミッチェル・デュークが頭で落としたボールを藤本一輝が素早く運び、エリキの劇的同点ゴールをお膳立て。2位に転落したとはいえ土壇場で勝点1を獲得して広島と同勝点を保った町田に対し、6試合未勝利で勝点2を失った浦和のサポーターがブーイングで選手を迎えたのは対照的な幕切れだった。

 

 

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。