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【森雅史の視点】2024年5月22日 ルヴァンカップ 第3回戦 FC町田ゼルビアvs鹿島アントラーズ

ルヴァンカップ1stラウンド 第3回戦  町田2(2-0)0鹿島
19:03キックオフ 町田GIONスタジアム 入場者数4,537人
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シュート本数は町田の19本に対して鹿島は5本、そして枠内シュート数は町田の9本に対して鹿島はゼロ。この数字だけ見れば町田の完勝だった。だが、試合を詳しく見れば町田の長所と弱点がハッキリ出ていたと言えるだろう。

 

町田が鹿島と対比してみたときに見せた弱点はパスワークだった。2点を奪ったときのパス回しはパーフェクトだったが、後半、鹿島からボールを奪ってパスをつなぎ始めると、肝心なところでパスミスが出た。そのため鹿島の圧力をかわすために落ち着いてパスを回したい場面で、みすみす相手にボールを渡してしまうことになってしまった。もちろん新加入の選手が多い町田が、連係の完成度が高い鹿島に比べると劣るのは仕方ないことではある。それでも、チーム力をさらに上げていくためには、避けることは出来ない課題だろう。

 

一方で、そのパスワークがある鹿島をうまく絡め取る守備は、水曜日の先発から10人を代えたチームでも高い完成度を見せた。そしてボールを奪うとショートカウンターから2点を奪っている。また、後半は落ち着きを取り戻した鹿島に攻められたものの、最後まで食らいついていく守備でシュートを打たれてもブロックするという粘り強さも高いレベルで続けられた。

 

この両者がリーグ戦で顔を合わせた第3節は町田が1-0と勝利を収めており、さらにそのとき鹿島の枠内シュート数は1本だけだった。この日の試合結果も含めて、鹿島に町田への苦手意識が生まれていてもおかしくない。もしそうなら、最終節で対戦するときどちらかのチームに何かの順位がかかっているようだったらドラマが生まれることだろう。

 

 

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート