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【六川亨の視点】2024年3月30日 J1リーグ 第5節 川崎フロンターレvsFC東京

J1リーグ 第5節 川崎F3(1-0)0FC東京
15:03キックオフ Uvanceとどろきスタジアム 入場者22,543人
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開幕から1勝3敗、それも3連敗で15位に低迷する川崎F。毎試合失点の9失点だけに、それも仕方のないことだろう。理由は簡単で、ベテランSB山根視来と登里享平の移籍に加え、CB陣にも故障者が続出したからだ。しかし第5節では、前節で復帰したCBジェジエウに加えてGKチョン・ソンリョンも復帰。そして右SBは橘田健人をコンバートしていたが、左サイドでのプレーを得意とする瀬川祐輔を起用することで、橘田を本来のポジションであるボランチに戻した。DF陣が安定したことで、蘇ったのが前線からの強度の高い守備だ。橘田、瀬古樹、脇坂泰斗らがミドルサードで松木玖生、小泉慶、高宇洋らからボールを奪いFC東京のビルドアップを分断する。ジェジエウは1トップの荒木遼太郎と交代出場のディエゴ・オリヴェイラにまったく仕事をさせず、左SB三浦颯太は先制点をアシストするなど「今日は自分から見ても気持ちの表われた試合だった」と鬼木達監督に言わしめる、完璧な試合内容であり完勝だった。

いいところなく敗れたFC東京のシュート数は前半の4本だけ(川崎は前後半で18本)。後半45+6分、GK野澤大志ブランドンのロングキックをジェジエウに競り勝ち、GKと1対1になったFWジャジャ・シルバが唯一の決定機だったが、これはGKチョン・ソンリョンの好セーブにストップされた(公式記録ではジャジャ・シルバのシュートは0本)。ここまで4試合で4ゴールと好調の荒木を1トップで起用するのはいいが、どう攻撃を構築するのか見えないのは昨シーズンのまま。場当たり的なスタメンと、パターン通りの交代ではチームの進化も見えてこないのではないだろうか。

 

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。