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【田村修一の視点】2024年3月29日 J1リーグ 第5節 東京ヴェルディvs京都サンガF.C.

J1リーグ 第5節 東京V 2(0-2)2 京都
19:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者数10,060人
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前半と後半で試合の様相が一変し、お互いの長所と課題が端的に現れた試合だった。そしてどちらにとっても、満足感とほろ苦さが同居する試合だった。

 

前半は完全に京都のペース。プレーのスピードとトランジションのスピード、プレーの強度で東京Vを圧倒し、相手にまったくサッカーをさせなかった。ただし豊川と原のゴールで2対0とリードしてからは、ハイプレスが激しさを弱めてブロックで待ち構える守備に切り替わり、後半の変化を予見させた。

 

とはいえ後半も、カウンターから3点目を奪っていたら京都の快勝となっていただろう。だが、得点機を逃し、選手交代とシステムの変更でペースを握った東京Vが、徐々に京都を押し込めていく。染野がPKを決め1点差とした後、3バックにして逃げ切りを図った京都の守備のはざまを突き、アディショナルタイムに再び染野が決めて同点に追いついた。

 

攻撃プランでは大きな成果を見せながら、守備プランでは課題が浮き彫りになった京都と、前半は相手の攻撃に成すがままだったものの、後半は攻撃のプランが結果を出した東京V。どちらも今後に期待したい。

 

 

 

田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。