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【田村修一の視点】2023年5月6日 ACL決勝第2戦 浦和レッズvsアルヒラル

ACL決勝第2戦 浦和レッズ1(0-0)0アルヒラル
18:01キックオフ 埼玉スタジアム2○○2 入場者数53,374人
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浦和が3度目のアジア制覇を果たした。

試合後の監督会見で、アルヒラルのラモン・ディアス監督にワールドカップからの過密スケジュールと連覇へのプレッシャーと、日本までの長い移動時間と試合中の強風の影響を問う質問が発せられた。どちらも監督は否定したが、それだけアルヒラルのパフォーマンスが、最高状態からは遠かったということなのだろう。実際、オールサウジ代表プラス外国人で固められたアルヒラルだが、カタールワールドカップでのサウジ代表のパフォーマンスからは程遠かった。

とはいえそれが浦和優勝の価値を損なうことはまったくなく、相手の個の力を封じ込めた守備以上に、回数は多くはなかったがワンタッチで相手を紙一重でかわす中盤の構築とゴール前での流動的なコンビネーションにはチームのポテンシャルが感じられた。これからのJリーグの戦いにつながる可能性だった。

同じ監督会見でスコルジャ監督は、シーズン前から本来のチーム作りはせずに、すべてをこの決勝に向けて準備してきたことを改めて語った。そしてこれからは攻撃的なチームを構築していくと。また大会MVPの酒井は、この決勝からJリーグにつなげるものはという質問に、つなげるものは何もない、自分たちのやりたいサッカーではなかったとハッキリと宣言した。アルヒラルとは個の力で差があったと謙虚に認めながら。

素晴らしい優勝であり、浦和の今後に注目したい。

 

 

 

田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。