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【田村修一の視点】2022年10月16日 天皇杯決勝 ヴァンフォーレ甲府vsサンフレッチェ広島

第201回天皇杯決勝 甲府 1(1-0,0-1,0-05PK4)1広島
14:04キックオフ 日産スタジアム 入場者数 37,998人
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スキッベ監督のもと、今季の広島は変わった。アグレッシブな守備をベースに、攻守の切り替えの速さとスピーディで強度の高い攻撃。世界のトレンドを敷衍したスタイルは、プレーのクオリティを劇的にアップさせ、川村や満田など若い選手たちも大きな成長を遂げた。結果も伴い、Jリーグではここまで3位。天皇杯、ルヴァンカップでは決勝進出を果たした。だが、この日の決勝では、ファイナルに臨む戦い方ができなかった。強い決意とモチベーションの欠如。相手の対策も十分とはいえず、通常のリーグ戦に臨むように試合に入り、特に目新しさがあるわけではない甲府を攻めあぐねた。それでも満田がPKを決めていれば、結果的には順当勝ちということになっていたのだろうが……。

育成型の指導者であるスキッベは勝負師ではない。モチベーターでもない。そんなスキッベが、次のルヴァンカップ決勝までに、どうやってチームを立て直すのか。選手のメンタルケア、メンタルマネジメントでは、ドイツは世界の最先端を行っている。真価の見せどころである。

 

 

 

田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。