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【森雅史の視点】2022年10月16日 天皇杯決勝 ヴァンフォーレ甲府vsサンフレッチェ広島

第201回天皇杯決勝 甲府 1(1-0,0-1,0-05PK4)1広島
14:04キックオフ 日産スタジアム 入場者数 37,998人
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敗者を決めるのにふさわしくない試合だった。前半は両サイドを制覇したヴァンフォーレ甲府のペース、後半からは巻き返したサンフレッチェ広島が主導権を握った。26分、CKから左サイドを攻略して三平和司が折り返しを決めると、84分、川村拓夢が蹴った瞬間にネットが揺れるような強シュートを突き刺す。ドラマとして語られるのは116分、山本英臣がペナルティーエリア内でハンドの反則を取られるがPKを河田晃兵が防いで凌ぐと、最後はその山本がPK戦で決勝ゴールを決めたことになるだろう。だが本来この試合で語り継がれるべきは、勝負を諦めなかった両者の死力を振り絞った戦いであるほうがふさわしい。この広島に競り勝ったからこそ、甲府の優勝には大きな意味がある。

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート