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【田村修一の視点】2022年7月30日 J1リーグ第23節 横浜F・マリノスvs鹿島アントラーズ

J1リーグ第23節 横浜FM 2(1-0)0 鹿島
19:04キックオフ 日産スタジアム 入場者数 31,599人
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EAFF E1選手権による2週間のブレーク後の首位決戦は、チームの完成度の違いが明らかに出て横浜FMが鹿島を下した。横浜FMにとっては、優勝を手繰り寄せる勝ち点3の獲得となったが、問題視すべきは両者の完成度の差が時間的な差異であるのかどうかである。何故ならチーム構築の方向性が、横浜FMと鹿島とでは180度異なっているからである。この5年間で4度Jリーグを制覇した川崎と同様に、横浜FMも前監督のアンジェ・ポステゴグルーが複雑なことから始めて実現したものを単純化させてひとつのチームを完成させた。目的合理性に沿ったチーム作りであったのに対し、レネ・ヴァイラーに率いられる鹿島やリカルド・ロドリゲスの浦和、アルベル・プッチ・オストラダのFC東京は、下から積み上げていくチーム構築である。後者が前者を凌駕した例はほとんどない。優勝争いとは別に、今後の展開に注目したい。

 

 

 

田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。