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【六川亨の視点】2022年7月30日 J1リーグ第23節 浦和レッズvs川崎フロンターレ

J1リーグ第23節 浦和レッズ3(2-0)1川崎フロンターレ
19:04キックオフ 埼玉スタジアム2○○2 入場者数35,451人
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中断前の直近3試合は対照的な両チームだった。浦和レッズは第20節、ホームの京都戦は2-2で引き分けたものの、その後はFC東京に3-0、清水に2-1と複数得点を決めて復調傾向にあった。

対する川崎フロンターレは、第20節の鳥栖戦と第22節の名古屋戦は、対戦相手に新型コロナウイルスの感染者が複数人いたため、それぞれの保健所が3日間の活動停止を命じたことで試合は中止、第21節のG大阪戦は4-0と大勝していた。

こうして迎えた第23節だったが、今度は川崎がトップチーム関係者に28日に5人、29日に4人が陽性判定を受けたと発表。しかしJリーグの規定では、13人の選手がいれば試合開催は可能なため、スタメンの11人に加えDF山村和也、FW宮城天の他にGK安藤駿介、同じくGKの早坂勇希とGK丹野研太の3人がメンバー表に名前を連ねる異常事態になった。

スタメンでは、本来はボランチが本職の橘田健人が左SB、同じくボランチの瀬古樹が右SBに入る、こちらも緊急事態だった。結果はというと、キャプテンの谷口彰俉が「普段と違うポジションでプレーする選手がいたので、そこはミスを想定してカバーしなければいけなかった」と振り返ったように、前半4分はダヴィド・モーベルグの右クロスをフリーの伊藤敦樹に頭で押し込まれて先制を許すと、17分には右サイドを崩され松尾佑介に追加点を奪われた。

試合後に鬼木達監督は「ルールに沿って覚悟を持ってやっている。自分たちはGKをサブに入れたりしている。簡単に延期になるのかなという思いは当然ある。今日のゲームは問題提起になるかもしれない」と苦言を呈した。

それは中止になった名古屋戦が、保健所との相談で「活動停止」の指導を受けたと名古屋が誤認し、Jリーグに事実ではない報告をしていたことが判明したからだ。野々村芳和チェアマンは「現時点で陽性者の濃厚接触者を合わせると、ベンチは13人には満たなかった」と説明しているが、こちらは今後の進展を見守りたい。

 

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。