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【六川亨の視点】2021年8月9日 J1リーグ第23節 横浜FCvs名古屋グランパス

J1リーグ第23節 横浜FC 2(2ー0)0名古屋グランパス
18:03キックオフ ニッパツ三ツ沢球技場 入場者数4,222人
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東京五輪で中断されていたJリーグが約1ヶ月ぶりに再開された。9日はニッパツ三ツ沢でのJ1リーグ、横浜FC対名古屋戦を取材した。横浜FCのメンバー表には、“キング・カズ”こと三浦知良が3月10日の第3節・浦和戦以来となるリザーブ入りを果たしている。出場すれば浦和戦以来、約5ヶ月ぶりの出場となり、当然J1リーグの最年長出場記録を更新する。しかしカズが出場するには、横浜FCが6位の名古屋からリードを奪って試合終盤、あるいはアディショナルタイムを迎えなければならない。それが現実的な条件でもあるだろう。最下位の横浜FCにとってはかなりハードルの高い目標でもあった。

ところが試合は横浜FCが電光石火の早業を見せた。前半9分に高木友也のクロスが中谷進之介のOGを誘うと、33分には松浦拓弥のスルーパスに松尾佑介が抜け出し、名GKランゲラックをあざ笑うかのようなループシュートで今シーズン初ゴールを決める。前半で2点を奪っただけでなく、試合内容でも名古屋を圧倒した。あとは後半にダメ押しの3点目を奪って時間を使えばいい。そう思って後半を迎えたが、案の定、マッシモ・フィッカデンティ監督は齋藤学、前田直輝、長澤和樹ら攻撃的なカードを次々と繰り出す。これに対し早川知伸監督も74分に3人同時交代で守備を固め、5-4-1で名古屋を迎撃した。

さらに早川監督は疲れの見えた松尾に代えて、79分に新外国人のサウロ・ミネイロを投入して名古屋DF陣の攻撃参加に備えた。残り時間は11分。残る交代カードは1枚しかない。このままどこまで横浜FCは耐えられるのか。しかし早川監督の決断は早かった。2分後にマギーニョに代えて武田英二郎を送り出す。こうしてカズの、約5ヶ月ぶりのJ1出場は「真夏の夜の夢」に終わった。

それでも横浜FCは、7月11日の第22節のアウェー広島戦に続き今シーズン初の連勝を飾った。最下位に変わりはないが、19位の大分とは勝点2差に迫った。そして、それ以上に大きいのは名古屋と互角に戦ったということだろう。この日のような試合がいつもできれば、残留争いから抜け出すことも不可能ではない。ただし、それができるかどうかが今後の一番の問題でもある。

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。