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【森雅史の視点】2022年4月9日 J1リーグ第8節 川崎フロンターレvs柏レイソル

J1リーグ第8節 川崎フロンターレ 1(1-0)0 柏レイソル
19:03キックオフ 等々力陸上競技場 入場者数17,471人
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2021年、川崎フロンターレが敗戦を喫したのはわずかに3試合、アウェイのアビスパ福岡戦とサガン鳥栖戦、そして天皇杯準決勝の大分トリニータ戦だった。このうち鳥栖と大分は川崎の両サイドを特に厚く守って主導権を渡さず、リズムを自分たちに持ってきて勝った。

この日の柏レイソルも両サイドにボールを出させないようにコースを切り、それでもパスが通ったときは2人、3人と人数を割くことで局地戦に持ち込んで川崎にペースを握らせなかった。攻撃にしても前半は決定機こそ少なかったものの手数は多く、あとは勝機を待つだけという状態だったと言えるだろう。

だが川崎には「個」の力があった。少しずつ調子を上げてきているマルシーニョが45+2分、一本の縦パスに持ち前のスピードで抜け出した。丁寧に折り返したボールをレアンドロ・ダミアンが沈められないはずがなかった。

後半に入るとバランスを崩して前に出ようとする柏に対して、川崎が巧みにボールを回して試合を一気に握った。ただし、去年までの川崎の「らしさ」も45分は続かない。それでも時に激しくぶつかり合い、ファウルも厭わないプレーで何とか逃げ切ったのは、王者の意地があったからだろう。

システムをダブルボランチにして守備を安定させたのは、攻撃的な理想から言えば一歩後退かもしれない。しかし、そういう変化を加えても勝利を狙うという気迫は、川崎の3連覇への道を切り開こうとしている。

 

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート