【六川亨の視点】2021年4月7日 J1リーグ第8節 FC東京vs北海道コンサドーレ札幌
J1リーグ第8節 FC東京2(0-0)1札幌
19:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者数6,236人
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2つの退場劇が明暗を分けた試合だった。
前半29分、札幌のルーキーで167センチと小柄だが快速ドリブルを武器にする小柏が、チャナティップのパスからショートカウンターを仕掛ける。これを渡辺剛が体をぶつけて阻止すると、主審はためらわずレッドカードを出した。VARが入ったものの主審はオンフィールドレビューをすることなく、結果も変わらなかった。
これで得た右45度のFKをキッカーの福森が左足で狙うが、シュートは壁に立った三田にブロックされ、前半は0-0で終了する。
試合後のペトロヴィッチ監督は「いい入りができたなかで、相手にレッドが出るまでは試合を支配してコントロールした。しかし退場になり、慎重になりすぎたのか横パスが増え、相手に圧力をかけられなかった」と29分以降の前半のプレーを敗因にあげた。
一方のFC東京である。後半10分に自陣ゴール前でルーズボールを拾ったディエゴ・オリベイラが、単独ドリブルでカウンターを仕掛けた。札幌陣内左サイドでキム・ミンテを抜き去ろうとしたところ、足を引っかけられて倒される。
このプレーに対し主審はすかさずイエローカードを出した。
試合はFC東京のFKで再開されそうになるところ、主審はオンフィールドレビューに切り替える。そして3分間の沈黙がスタジアムを支配した後、主審はイエローカードを出して取り消す仕草の後、レッドカードでキム・ミンテを退場処分とした。
今度は札幌の選手が食い下がるが判定は覆らない。そして三田のFKをニアで途中出場の永井がフリックすると、中央のディエゴ・オリベイラが左足ボレーで先制点を突き刺した。この1点で勢いに乗ったFC東京は、後半24分にディエゴ・オリベイラのドリブル突破からPKを獲得すると、これを自らが決めてリードを広げる。
38分にアンデルソン・ロペスに1点を返されたものの、6分のアディショナルタイムを凌ぎきってFC東京が接戦をモノにした試合だった。
六川亨(ろくかわ・とおる)
東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。