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【六川亨の視点】2022年2月19日 J2リーグ第1節 横浜FCvs大宮アルディージャ

J2リーグ第1節 横浜FC3(1-0)2大宮アルディージャ
14:03キックオフ ニッパツ三ツ沢球技場 入場者数4,596人
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3シーズンぶりにJ2へ降格した横浜FC。新シーズンに向けボランチの瀬古樹(川崎F)とインサイドMF松尾佑介(浦和)が抜けたのは痛手だが、川崎FからFW長谷川竜也とMFイサカ・ゼイン、磐田からFW小川航基、FC東京からDF中村拓海らを補強するなど戦力は充実。J1昇格争いの有力候補と言っていいだろう。

一方の大宮は、昨シーズンの最終戦でやっと残留を決めたものの、オフには攻撃の起点となっていた馬渡和彰(浦和)と河面旺成(名古屋)の両SBが抜け、右サイドのアタッカーとして昨シーズンはチームNO1の9ゴールを決めた黒川淳史(磐田)もユース時代から在籍した大宮に別れを告げた。

それに追い打ちをかけたのが新型コロナで、9人の選手が離脱した。このためアウェーの開幕戦にはレギュラーであるはずの左FW奥抜侃志、トップ下の菊地俊介、ボランチの小島幹敏、キャプテンの三門雄大が不在という緊急事態だった。

試合は両チームの現状を示すように、ホームの横浜FCが2点を先取した。GKからビルドアップする大宮に対し、前線の3人+中盤の2人でプレスをかけてミスを誘う攻撃が効果的だった。

大宮が反撃に転じられたのは後半10分にFW富山貴光を投入し、右FWの矢島慎也を左インサイドMFにコンバートしつつ、降雨によりショートパスをつなぐのではなくロングボールを多用したからだった。相手陣内にボールを入れて、そこでプレスをかける。このシンプルな攻撃から矢島が1ゴール1アシストの活躍で試合を振り出しに戻した。

しかし5シーズンぶりに監督に復帰した四方田修平監督もしたたかだった。「僕は慎重な方なので、2-0になっても勝てるとは思わなかった。やっぱり(同点に)なっちゃったな~と思ったが、2-2で終わらせるのではなく、もう1点と思って選手交代をした」と振り返ったように、交代枠を残していた。

まず後半33分に巨漢FWクレーベを投入すると、45分には5枚目の交代カードとして中村俊輔を投入する。すると後半45分+2分にPKを獲得し、クレーベが強シュートを突き刺して接戦にピリオドを打ったのだった。

 

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。