【六川亨の視点】2021年5月9日 J1リーグ第13節 浦和レッズvsベガルタ仙台
J1リーグ第13節 浦和レッズ 2(0-0)0 ベガルタ仙台
16:03キックオフ 埼玉スタジアム 入場者数4,750人
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9位(浦和)対19位(仙台)との対戦とは思えないほど、互角の攻防だった。立ち上がりに主導権を握ったのはアウェーの仙台だった。
手倉森誠監督が「ゲームの入り、こっちが少し主導権を取れたかな」と言えば、1トップのFW西村拓真も「立ち上がり、うまく入れてチャンスを作っていた」と振り返ったように、西村のポストプレーから浦和CBを剥がし、サイドのスペースへと侵入した。
一方の浦和は「ゲームの入りのところで苦戦した」とリカルド・ロドリゲス監督は認めつつ、「飲水タイム後に落ち着いてきた」と言った通り、左SBに入った明本とMF小泉佳穂のコンビプレーで左サイドから攻め込んだ。
両チームとも苦労してパスをつなぎ、相手ゴールまで迫る。しかし、サイドバックと1対1から間合いの広さを利用して上げるクロスは、ゴール前を固めるDF陣に簡単に弾き返される。守備側が数的有利な状況で待ち構えているからだ。
これが川崎Fならどうしていたか。三笘薫と家長昭博はチャンスと見るや躊躇せずドリブル突破を仕掛けるだろう。そうすることで数的不利な状況を打開し、DF陣にパニックを起こさせる。元々パスワークに長けたチームに“個の力”が加わったのだから強いのも当然だ。
では、そうしたタレントがいないチームはどうするか。
浦和の1点目のように右からカットインしたFW武藤雄樹が小泉とのワンツーで抜け出し、最後はボックス内でフリーとなったFWキャスパー・ユンカーにラストパスを送ったように、中央突破が1つの方法である。
あるいはMF阿部勇樹の2点目のように直接FKやCKといったセットプレーはマストの武器だろう。そして残るはカウンターということになる。
目の前の試合を見ながら、改めて川崎Fの強さを再認識した埼スタでの試合だった。
六川亨(ろくかわ・とおる)
東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。