勝った時は誰よりも喜び。負けた時は誰よりも肩を落とす。マスコットはチームの一員です【Jに魅せられて/マスコット編・前編】
マスコットの存在がクラブ愛、Jリーグ愛を深めることにつながった二人のサポーターが登場する。
(写真・左)真里亜さん
東京都出身。Jリーグ開幕と同時にサッカーに魅了される。2004年頃からFC東京を応援。今イチオシの選手は中島翔哉選手。J1〜J3全チームのスタジアムで観戦し、すべてのマスコットと戯れるのが目標。
(写真・右)みやしさん
山梨県出身・東京都在住。ゴール裏から愛を届けています! 家族4人でアウェイ遠征に行くことがここ数年の楽しみ。現在イチオシの選手はGK岡大生選手。
▼フォーレちゃん、奇跡のリアクション
ーーお二人はマスコットの存在によって、さらにJリーグが好きになったと聞いています。それぞれのひいきチームであるヴァンフォーレ甲府の『ヴァンくん』『フォーレちゃん』、FC東京の『東京ドロンパ』のどんなところが気に入ったのでしょうか?
みやしさん:山梨県に住んでいると、ヴァンくんは広告(テレビのCM)や商品(ヴァンフォーレ応援たまご)など、スタジアム以外でも目に止まることが多いのですが、実際にスタジアムへ行って本物のヴァンくんを見た時に仕草がすごくお茶目で「イラストよりも動いているヴァンくん、かわいい!!」と一目ぼれしちゃいました。例えば甲府では試合前にマスコットショーをやるのですが、ダンスをしたり、バックスタンドやメインスタンドのお客さんに向かって挨拶をするヴァンくんをあらためて見て、「かわい過ぎる!!」と思いました。それがきっかけですね。
ーー一方の東京ドロンパですが、FC東京はマスコットを作らないことが一時期、クラブの一つのポリシーだったと思うのですが……。
真里亜さん:当時は”マスコット反対派”が多かったと言われていました。ですからFC東京はマスコット後発のチームだと思っています。東京ドロンパが誕生した2009年の頃は、私はすでにFC東京のサポーターでしたが、誕生前に初めてイラストで姿を見た時は、特にかわいいとは思わなかったんですよ……。どちらかというと、丸いフォルムのマスコットが好きで、あまりかわいくない……と。でも、実際にスタジアムでドロンパを見た時、クオリティーの高いパフォーマンスや芸の細かいかわいい動きを見て、次第にかわいいかも……いや、すごいかわいい……と惹かれていきました。
FC東京がマスコットを作ると聞いた時は結構ビックリしました。クラブの方針転換なのか、時代の流れなのか……。私自身もマスコットに会うために試合の日にスタジアムに早く行くようになったのはここ1、2年なんです。でも思い返すと、一番最初に買ったグッズはJリーグ創世記に買った『マリノスくん』と『ヴェルディくん』のキーホルダー。今じゃ売っていないようなゴツいキーホルダーをランドセルにつけていましたので、マスコットを好きになるベースは小さい頃からあったのかもしれません。
ーー先ほどもお話が出ましたが、ヴァンくんとフォーレちゃん。どんなところがかわいいのか、もう少し言葉にしていただけますか。
みやしさん:ヴァンくんはとにかく愛嬌があるんですよ。愛嬌があって芸達者と言われるのですが、まさにそのとおりです。例えば、ホームゲームのときに相手側のサポーター席の前に行って、一芸する姿をよく見かけます。時には一緒に巻き込んでフォーレちゃんとコントをしたり、そうやって「山梨に来てくれた相手サポーターを楽しませよう!」という姿を見ると敵味方関係なくすごく人が好きなんだろうなと思います。ダンスはできるし、運動神経もいい。多芸だし、ホスピタリティがすごい。それなのにフォーレちゃんの誕生日にプレゼントを渡すことを忘れてたり、結構天然(鈍感?)な一面もあるんです。
大宮アルディージャのアルディとミーヤは公式カップルのような感じですが、ド天然な男の子ヴァンくんと、しっかり者で女子力の高いフォーレちゃんは、友達同士。でもこの関係もとっても素敵だと思います。甘酸っぱくてなんだかかわいらしいですね。
それから、なにかとヴァンくんが取り上げられがちですが、私、フォーレちゃんことが大好きです。いつもフォーレちゃんを”口説いて”いるくらい。「世界一かわいいよ」って(笑)。
ーーそれでどんなリアクションが返ってくるのですか?
みやしさん:「あなたのほうがかわいいよ」ってやってくれるんです! サービス精神旺盛!(笑)。「かわいい~」と頭を撫でると、「きゃ~」と照れるし、すごく女の子らしくて大好きです。それから、ヴァンくんフォーレちゃんはゴール裏側のトラックの隅のほうで試合を見ているのですが、試合後のテンションはまさにサポーター。試合中はサポーターとともに応援し、勝利した時は旗を振ったり飛び跳ねて喜ぶ。負けた時は誰よりも肩を落として落ち込む姿を見かけます。そういう姿を見ていると、クラブに付属するマスコットというより、甲府を応援するサポーターのひとり、という感じがしますね。
▼マスコットのカテゴリー
ーー先ほどの「あなたのほうがかわいいよ」といったフォーレちゃんの仕草を動画で流したいぐらいの展開でしたが、それはまた次の機会に。それでは大塚さん、東京ドロンパの魅力を思う存分、話していただけますか?
真里亜さん:愛嬌があって芸達者というヴァンくんとも似通っているのですが、ドロンパは完璧な神対応ができるトップアイドルのようなマスコット。ダンスも踊れる、ローラースケートも一輪車も乗る。運動神経抜群で何でもできます。サービス精神旺盛でサポーターへの対応も完璧です。
人気者なのでなかなか近付けないのですが、話しかけた時にじっと目を見つめられてうなずかれた時は、その瞬間”ズキュン”みたいな。
あとはデザイン性が非常に優れています。頭と顔と尻尾が青と赤のチームカラーでデザインされているのですが、やや奇抜な組み合わせなのに、洗練されたイメージを保っていて計算し尽くされているいるなぁと思うんです。まさに首都・東京にふさわしいかっこいいマスコットだと思っています。
マスコットの多くは、カッコイイ系か、かわいい系に分かれることが多いと思うのですが、ドロンパは両方いいとこ取りをしていて、かっこいい動きもできるし、お茶目なかわいい仕草もできます。
でもドロンパに対する思い入れが変わったのは比較的最近です。2015年のホームでの最終節・サガン鳥栖。勝てばチャンピオンシップ出場、3位という過去最高順位が待っている試合で、絶対に勝ちたい気合の入った試合でした。結果、試合は0-0で終了。同時刻開催のガンバが勝ち、FC東京は4位転落。私も周りの人も呆然と立ち尽くしていました。崩れ落ちる選手たちを直視できなくて視線を外した時、私たちと同じようにまったく動かず呆然と立っているドロンパがいました。ドロンパのそんな姿を見たのは初めてでした。
セレモニーが終わり選手がスタジアムを一周して挨拶に来た時、サポーターも選手もうつむき気味でいた中、ドロンパだけが上を向いて力強くフラッグを振りながら歩いてきました。それを見て気付いたのです。どんな時も選手に一番近いところで盛り上げ支えている。それがチームマスコットの役割なんだと。この時から「ただかわいいだけのマスコット」ではなく、「自分の応援しているFC東京の一員」だと思っています。それはどのチームのマスコットも同様で、すべてのマスコットはチームの一員であると私は思っています。
ーーちなみにかっこいい系はどのマスコットですか?
真里亜さん:ディーオ、ゼルビー……
みやしさん:ドーレ様(ドーレくん)
ーーかわいい系は?
真里亜さん:一般的にはウィントス、ヴィヴィくん、ゲンゾー、ニータン、グランパスくん、レノ丸あたり? アルビくん一家は後ろ姿がたまらない。ベガッ太さん、サンチェなどはキャラ立ち系に分類できますね。マダム・ロビーナはキャラ立ちし過ぎている。
みやしさん:マダム・ロビーナは自転車乗ってますよね?
真里亜さん:うん、まさにおかんといった感じ。私のお気に入りはドロンパとニータンの2トップなのですが、どのマスコットもみんな好きになりつつあります。昨年のマスコット総選挙をきっかけに、いろいろなチームのサポーターの方のツイッターを見るようになって、みなさんのマスコットに対する愛を感じてよりマスコットに興味が湧いてきました。
ーーなぜ、ニータンが2トップに食い込んでいるのですか?
真里亜さん:一目惚れでした。初めて存在を知った時、「何この超かわいい子は〜〜〜」みたいな。まんまるボディに黒目がちで愛くるしい顔。思わずさすりたくなる鼻。ちょこんと出てる背中の羽。全てが好みです。体型的に活発に動きまわることはできないんですが、一生懸命短い手を振ったり律儀にお辞儀したり、とにかく挙動がかわいい。そしてドロンパ同様、チーム戦況が良くなかった時、真っ先に前を向いていました。ニータンの健気にチームを支えているところが好きです。
ーー実際にニータンに会ったときはどうでしたか?
真里亜さん:ゼロックスで初めて会えましたが、会いたい思いが募り過ぎていて……自分でも引くくらいテンションが上がっていました。かわい過ぎてかわい過ぎて。本物だー! みたいな不思議な感覚でした。
ーーちなみにそのほかにも”推しマスコット”はいますか?
真里亜さん:ゼロックスで実際に会ってからはロアッソくんが気になり始めてます。
みやしさん:基本は一途ですから、ほかを追いかけたりはしないです。ただ……、最近はガミティが気になっていて。
真里亜さん:私も密かにチェックしています。SC相模原のホームページに新入社員として紹介されていましたよね。
みやしさん:私、”鳥系”が好きなんだろうな。
真里亜さん:安定の鳥系。分かる。
▼感情を共有し合えるJユニ女子会
ーーマスコットの話が尽きませんが、そもそもお二人がJユニ女子会に入会したきっかけを聞かせてください。
真里亜さん:Facebookで知り合いの人がJユニ女子会に関する投稿に「いいね!」を付けていて存在を知り、「面白そう」と衝動的に入会しました。ちょうど1年前ぐらいテレビでJユニ女子会が取り上げられた頃ですね。
私はJリーグそのものがとにかく好きで。何よりJリーグの百年構想の理念、地域密着の精神に共感しているのですが、Jユニ女子会に参加することで具体的に何ができるかは分からないし、微力かもしれないけど、少しでもJリーグを盛り上げられれば、という思いで参加しました。あとはJリーグ好きの女の子たちとサッカーの話ができたらいいな、という感じです。
実際、いろいろなチームの方と交流できています。FC東京サポのメンバーとは、勝った時盛り上がるのはもちろん、負けが続いた時や、好きな選手が移籍をしてしまったときなど、ネガティブな感情を共有し合うことも昨季は多かったです。
ーーレプリカを着ている水沼宏太選手(現・セレッソ大阪)が移籍してしまったときは慰め合ったのですね?
真里亜さん:期待もしていましたし、キャラ的に人気があったので……。神戸に移籍した高橋秀人選手や期限付き移籍から完全移籍になった三田啓貴選手(現・ベガルタ仙台)、など、みんなそれぞれ応援していた選手の移籍が多かったので、慰め合いました。でも行き場のない思いを話すとスッキリできるので、感情を共有できる仲間ができて良かったなと。今季は明るい話題をたくさん共有したいですね!
みやしさん:私は甲府サポのマスコット好きの方からツイッターで入会のお誘いのダイレクトメールをいただいて、入会したことがきっかけです。今までは甲府の中で完結していたので、交友関係を広げたいという思いはありました。あとは甲府は現在、J1・5年目なのですが、正直まだまだ認知度が低い気がします。J1にはビッグクラブも多いですし、その中でも甲府はプロヴィンチャとして頑張っていることを、少しでも甲府のために情報発信ができたらなと思っています。
今回のインタビューも、ヴァンくんやフォーレちゃんの魅力をみなさんに伝えて、甲府はこういう素敵なクラブなんですよと発信したくて、インタビューを受けました。ここ最近は受け身ではなく、発信する側として積極的に動いていきたいと思っています!