【森雅史の視点】2021年3月20日 J2リーグ第4節 東京ヴェルディvsツエーゲン金沢
J2リーグ第4節 東京ヴェルディ 2(1ー1)4 ツエーゲン金沢
16:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者数2,245人
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立ち上がりの4分、小池純輝が抜け出して東京ヴェルディが先制点を決めると、その後の20分は食いついてくる金沢の選手をうまくかわしながらホームチームがペースを握った。ところがこれは金沢の読みどおり。柳下正明監督は記者会見で、東京Vの体力が続かずペースが落ちる時間が来ると分析していたことを明らかにした。また、最初はスペースがある中でも前線から追いかけるようにしていたこと、そのためパスを回されていたと、こちらも予想の範囲内だったとした。
東京Vがこの時間に追加点を奪えれば状況は変わったかもしれない。だが次第に自分たちでペースを落とし、繋がっていたパスも引っかけられるようになってしまった。しかもテンポを上げようとしても、一度落ちたものはなかなか元に戻らない。となると最後まで組織的に走り抜く金沢が試合のリズムを握る。東京Vが主導権を奪い返すために安西和樹にもすぐ布陣を変えて対応し、アウェイチームが一時は4-1とリードした。東京Vは最後に意地を見せて猛攻を仕掛け1点を奪ったが、点差は大きく時間は少なかった。
東京Vには試合のリズムが悪くなったとき、チームを鼓舞してスピードアップさせるリーダーが見当たらなかった。永井秀樹監督はそのピッチ内のリーダーがいないことについて「去年からずっと取り組んできている課題」だと言う。かつて柱谷哲二氏やラモス瑠偉氏が果たしていた役割は受け継がれていない。スコア以上にそこが問題なのかもしれない。
森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート