【森雅史の視点】2021年3月10日J1リーグ第3節 川崎フロンターレvs徳島ヴォルティス
J1リーグ第3節 川崎フロンターレ 2(2ー0)0 徳島ヴォルティス
19:03キックオフ 等々力陸上競技場 入場者数4,583人
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昨シーズン、東京Vで目覚ましい成長を見せた藤田譲瑠(じょえる)チマはJ1でどこまでのプレーを見せることが出来るか。前半に関して言えば藤田らしいプレーは何もできなかったと言えるだろう。
無難にボールをつなぐプレーに徹し、藤田らしい展開力は見せなかった。相手へのアプローチも弱くボールを奪えない。42分には安部崇士へのパスが弱く、そこをレアンドロ・ダミアンに狙われて追加点を奪われてしまった。
「あと45分間だから悔いのないようにしよう」とチームで話し合ったハーフタイムを挟んで、後半は徐々に力を発揮し始める。5分には自分でボールを奪いシュートを打った。その後も落ち着いたボールコントロールから的確なパスを出して能力の高さを見せるシーンもあった。
だが持てる力をすべて発揮していたかというと疑問が残る。もっと積極的にボールに絡む姿を期待できる選手なだけに「遠慮気味」だと見えるほどだった。
藤田は「正直相手の名前にビビってしまった。自分たちのサッカーが出来ずに距離感も悪かったしすべてに対して受身になってしまった」とチームを振り返り、「自分自身も受身になってしまった」と悔しさを顕にした。
ただ、チーム内でまだ特長を理解してもらっていないという部分も考慮しなければならないだろう。狭いスペースでボールを受け、相手を引き付けて展開することも出来るのだが、そんなポジションにいてもパスは出てこなかった。
また、昨シーズンも試合を重ねるごとに躍動感を増していた。王者川崎との対戦でJ1トップのレベルを知っただろう19歳にはまだ大きく伸びる可能性がある。
森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート