【東京V】【トピックス】田村直也「そういう人たちの期待は裏切れない」
【無料記事】【トピックス】田村直也「そういう人たちの期待は裏切れない」(18.5.16)(スタンド・バイ・グリーン)
■一体感はもう少しほしい
僕がそのことを知ったのは、しばらくあとになってからだった。12日、アウェーのレノファ山口FC戦、東京ヴェルディは3‐4で敗れた。一時は2点のリードを奪いながらの逆転負けだ。頭をハンマーでガツンと殴られるような負け方だった。
翌日、山口宇部空港。喫煙所で言葉を交わした初対面のサポーター、Sさんから聞いた。「試合後、タムがだいぶ荒れていたみたいですけど、大丈夫ですかね。スパイクを地面に叩きつけ、相当怒っていたみたいで」。監督会見に向かう準備をしていた僕はそれを知らなかったが、だいたいの想像はついた。ウォームアップルームの外、ひとり、強張った表情でクールダウンを行う田村直也を見ている。
「失点の仕方に納得がいかなかった。気を抜かなければ防げたのではないかという思いが消せなくて。前の選手が3点も取ってくれたのに、ヒーローにさせてやれなかった悔しさもありました」
田村はそう言って、唇を真一文字に結ぶ。
僕が気になったのは、攻守、随所で見せたファインプレーがチーム全体の大きなうねりへとつながらない点だった。結果、勝つ流れをつくれず、相手の勢いに押し負けた。
「ああ、わかります。個人の発する熱がじわじわと広がっていけばいいんですが、なかなか11人の束ねられた熱になっていかない。一体感はもう少しほしいところです。僕もこういうのはプロを12年やってて初めてなんで。淡々と負け、それが一度ではなく2回、3回と続いた。どこかで本気になって止めないと。山口戦はその絶好の機会だったんですけどね」
できたらいいなで達成できるほど、J1への道のりは生ぬるくない。ある種の狂気じみたアクションが必要になってくる。
18日、第15節のファジアーノ岡山戦。4連敗中のチームは、再びアウェーの地に乗り込む。
「チームでミーティングを行い、選手間でも問題点を話し合いました。戦術的な部分はまったく変える必要がなく、続けていくのが重要だと思います。改善点はメンタルの部分だったり、個々人の守備の対応やチャレンジ&カバーのところ」
岡山戦は平日開催だ。現地まで駆けつけられるサポーターの数は限られる。ちなみに冒頭のSさんは「よく一緒にいる仲間は仕事があって難しいんですが、おれは有給を取ったんで。いきますよ、岡山」と話していた。
「僕もね、帰りに空港で会ったお姉さんサポーターに『次もいくからね。がんばって』と言われているので。そういう人たちの期待は裏切れない。ここを乗り越えられれば、きっとチームの新しい面が見えてくるはず。勝って、ホームに戻ってきます」
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