「番記者系コンテンツと一線を画すWMのオリジナリティーとは?」宇都宮徹壱/後編【オレたちのライター道】

"ライターの数だけ、それぞれの人生がある"。ライターが魂を込めて執筆する原稿にはそれぞれの個性・生き様が反映されるとも言われている。J論では各ライター陣の半生を振り返りつつ、日頃どんな思いで取材対象者に接して、それを記事に反映しているのか。本人への直撃インタビューを試み、のちに続く後輩たちへのメッセージも聞く前後編のシリーズ企画。第10回は『宇都宮徹壱ウェブマガジン』の宇都宮徹壱氏に話を聞いた。
(前編「自ら道を切り拓いてきたバイタリティーの原動力とは?」)

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ーー2010年にはWebマガジンの先駆け的存在と言っていい『徹マガ』というメールマガジンがスタートしました。

宇都宮 ある人物から「メルマガをやってみませんか?」と言われたことがそもそものきっかけです。紙媒体はまだ元気な時代でしたが、雑誌もインターネットに移行しつつありました。そこから、雑誌とネットメディアの力関係が逆転するのに、さほどの時間を要さなかったことを思えば、あのタイミングでメルマガを始めていて正解だったと思っています。

今の時代は、スマートフォンで無料かつスピーディーにサッカーの情報が得られるじゃないですか。時代の必然なのかもしれませんが、ライターにとっても媒体の有無は死活問題ですよね。そうした時代の中、生き残っていくための一つの手段が"個人メディア"でした。


ーー『徹マガ』は現在、タグマ!の『宇都宮徹壱ウェブマガジン』に移行していますが、コンテンツを作る上で意識していることはありますか?

宇都宮 個人メディアが、書き手のパーソナリティーにお金を出していただけるという視点を考慮すれば、コンテンツに面白さとクオリティーがあることは意識せざるを得ません。「ネタが尽きませんね」とよく言われるのですが、長く仕事をしていることで人脈も広がると、ネタが尽きるようなことはないんですよ。例えば、以前掲載した「グッズ担当者座談会」はニッチなカテゴリーかもしれませんし、なかなか脚光を浴びないことかもしれません。それでも、雑誌で拾い切れないようなこうしたネタを週一回のペースで掲載していくとなると、意外にもネタが尽きることはありません。特にここ数年、そうした視点を持つことで、自分自身も書き手として鍛えられたなと思っています。

私自身は、一つのJクラブを追いかけているわけではないので、タグマ!の中でも番記者系のコンテンツとは違うものを発信・掲載するように意識しています。それから戦術や育成も、この業界の大きなテーマですが、それは得意な方にお任せして、そこからこぼれ落ちる部分を拾い上げて、コンテンツ化することが自分の役割であると認識しています。


ーーなるほど。そうした視点に、『宇都宮徹壱ウェブマガジン』のオリジナリティーがあるのですね。

宇都宮 ありがたいことに7月で3年目を迎えますが、いつまでもこうした状況が続かないという危機感はあります。市場が飛躍的に伸びる特効薬はありませんが、そのためには意識的に「サッカーを文化にしていく」活動を続けることに尽きるのかなと思っています。今年のロシアW杯も盛り上がりを見せると思いますが、Jリーグを筆頭に女子サッカーもフットサルもブラインドサッカーもあるわけじゃないですか。この国でフットボールが、市場価値のあるものとして根付いていくような仕事を心がけていく。それが巡り巡って、業界やメディアにおける先細り感の脱却につながっていくと信じながら、この仕事を続けています。

最近では単なるインタビューものではなく、「この人とこの人を対談させたら面白いんじゃないか」という対談や座談会形式のものも増えてきました。それぞれの得意分野を生かしながら、それらを掛け合わせることで相乗効果を生む。WM主催のイベントについても、同じことが言えると思います。やっぱりライターだけ、あるいは狭い業界だけだと、どうしても限界がありますよね。逆に多少は領域を広げても、サッカー界を盛り上げるというベクトルがしっかりしていれば、何かが変わっていくと思っています。


ーーこれからの若い人材に対して、何かメッセージはありますか?

宇都宮 若い人たちに続いてもらうためにも、まずは私たちが魅力的に映るようにすることから始めるべきかなと思っています。夢を与える仕事なのですから、魅力的に映るように外からの見え方を変えていく。「そこから変えてみませんか?」と、同業者のみなさんには提案したいですね。
ここ10年ほどでスポーツの仕事に携わりたいという人は増えたと思います。クラブの運営スタッフ、広報、営業など、サッカーに関わる仕事はたくさんあります。例えばライター志望の方は「本当に書く仕事が自分に向いているのか?」と自問自答してください。やみくもに「ライターになりたい!」ではなく、例えば「編集者はどうなのか?」ということも考えてほしい。実際のところ、若くて優秀な編集者は、この業界では需要はかなりあると思います。


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【EXTRA TALK】
いつでもどこでも仕事ができるように

 こだわりのアイテムは、パソコンとスマホです。いつでもどこでも仕事ができるように、この二つは常に持ち歩いています。スマホは1月にi-Phone Xに変えましたが、ズームで撮影をしても2倍までは画像が荒れないですし、急な記者会見の取材でもこのスマホで対応できます。ただ、オフとオフを切り替えるためにも、できれば1週間に1日はパソコンを使わない日を作りたいんですけどね。なかなか難しいです(苦笑)。

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