『74試合中66試合はミスジャッジがなかった』と報じられない事。今も変わらないレフェリーへの個人攻撃【石井紘人の審判批評】


3月18日、日本サッカー協会(JFA)にて『2017第1回JFAレフェリーブリーフィング』が行われた(参考記事:審判委員会「我々のミスもあった」と公表)が、なぜJFA審判委員会は現役の審判員たちのミスを公表したのか?

相互理解を深めるためである。たとえば「ガンバ大阪vsFC東京(参考記事:審判批評)」で物議を醸した今野泰幸のチャレンジがPKとなった判定について。上川徹JFA審判副委員長は「流れで、このテレビカメラと同じ角度で見ていて『あぁ引っかけてしまった』と思った」と遠目ではファウルに見えると語り、私を含め、映像を見たメディアも同調していた。おそらく審判員の資格を持つ方々も映像と競技規則を照らし合わせ、ファウルという判定は受け入れられると感じたと思う。

一方で、週刊審判批評(参考記事:FBRJとは?)では別の議論があがっていた。読者の方から「NHKの映像にはありませんでしたが、DAZNで流れた追加副審側からの映像だと、今野がボールにプレーした後に接触したのが分かります」と指摘があったのだ。

そのようにこのプレーは「非常に難しい判定」(上川副委員長)で、議論の分かれた判定である。

そんな難しい判定に対し、審判委員会は追加副審側からの映像を公開してミスを認めた。それは担当した審判団を糾弾するためではない。次に同じ判定が起きた時に「あの時はファウルだったのに」とメディアに報じられないように。サポーターが審判団に不信感を持たないように。選手に基準を示すために。全ては相互理解を深めるためである。

だが、その審判委員会の思いは届いてないように感じる。担当した審判員に対して「ミスしたんだから辞めろ」といった罵詈雑言が散見している。審判委員会が説明した判定の難しさは語られず、まるで誰もがノーファウルと思ったかのように嘲笑されている。

もちろん「〇〇主審は、ミスが今季だけでも二試合連続なのだから、カテゴリーを変更すべきでは」というような意見はあっても良い。だが、その矛先は、審判個人ではなく、審判委員会であるべきだ(参考記事:小川佳実JFA審判委員長:現場でミスがあった時は、私たちを批判して欲しい)。選手を起用する監督に責任があるように。

にもかかわらず、記者ブリーフィングでは、誤審に対して「おとがめはないんですか?」という質問があがった。今回の審判委員会の試みは、審判員個人の評価を行う場ではなく、あくまでも起きた事象の説明である(参考記事:「J判定説明会で出た「あの選手」の愚行」という記事)。Jリーグクラブが、敗戦後にミスした選手のプレーを糾弾し「ミスしたのでクビにします」と会見を開くだろうか?。

審判員の試合でのパフォーマンスは厳しく批評されるべきだと思う。しかし、試合前から個人批判や個人攻撃を行い、また扇動することに何の意味があるのだろう。誰のための審判攻撃なのだろうか(参考記事:中澤佑二と家本政明と中村憲剛の関係)?。

74試合のうち8試合のミスを0に近づけるべく、FBRJでは厳しい批評を続ける一方で、こうも思う。

66試合を大きなミスなく妥当に終わらせた審判団については、何も触れないのだろうか?。

石井紘人 Hayato Ishii

ベストセラーとなった『足指をまげるだけで腰痛は治る!』(ぴあ)に続き、サッカーに特化し、『SOCCER KOZO』(ガイドワークス)編集部と作った『足ゆび力 つま先を使うだけで一生健康でいられる』が絶賛発売中。また、審判批評に特化したFootBall Referee Journalも運営。ご意見やご感想はツイッター:@FBRJ_JPまで

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