Jリーグはプレミアリーグ化すべきでは?『ボールボーイへの乱暴な行為』『浦和vs鹿島 対立挑発行為の発言問題』について【石井紘人の審判批評】
海外トップリーグはどのように対応しているのか
▼相互理解が深まりつつある
4月28日、日本サッカー協会(JFA)審判委員会による『2017第2回JFAレフェリーブリーフィング』(参考記事:新潟×FC東京戦大久保へのPK、仙台×鹿島アントラーズ戦のクリスランの警告は曽ヶ端の演技?)が開催された。
その約一か月前に行われた『第1回JFAレフェリーブリーフィング』(参考記事:『74試合中66試合はミスジャッジがなかった』と報じられない事。今も変わらないレフェリーへの個人攻撃)後には、ミスを認めた審判員へのバッシングが相次ぎ、同様の事態が懸念されていたがそうはならなかった。むしろ、審判委員会の思いである「ミスはミスで認めつつ、審判員がなぜミスをしかたか理解して頂くこと」が初めてメディアに通じた(参考記事:サンケイスポーツ「批判記事を書く記者も勉強が必要」)。
▼海外リーグでの対応事例
審判側とメディアの相互理解が深まる一方で、ゴールデンウィーク期間には選手たちのコモンセンスが問われる事件が起きた。J2第10節『ジェフユナイテッド千葉vs徳島ヴォルティス』ではボールボーイへの乱暴な行為(参考記事:高山啓義主審は選手に詰め寄られても毅然とジャッジ)、NHKで全国放送された『浦和レッズvs鹿島アントラーズ』では対立時に差別発言(参考記事:対立時にいったい何があったのか?)疑惑が勃発している。
こういった選手たちの行為に対し、海外トップリーグはどのように対応しているのか。世界で最もリッチなリーグであるイングランドプレミアリーグでは、このような『ゲーム関係者の行動』に2016年から厳しい罰則を科していると「Professional Game Match Officials Limited (PGMOL)」に所属しているRay Oliver氏は語っていた(参考記事:プロフェッショナルレフェリーキャンプレポート)。
Ray氏曰く、「お子さんのご両親が『選手同士が対立している所をみせたくない』『プレーヤーが審判員に対し、怒鳴っているのをみせたくない』と感じており、これらが原因で約10億人がプレミアリーグを視聴していないという調査結果がマーケティング会社から出た」。
リーグ側は、今後もプレミアリーグを発展させていくためには、『ゲーム関係者の行動』を改善させないといけないと結論付け、「たとえば、審判員を取り囲む行為で報告を受けた場合、300万くらいの罰金をチームが払う。そして、違うゲームでも同じ行為があれば、倍額の罰金が科されます。一回目で300万、二回目600万、三回目が1200万、四回目は2400万と倍になっていく」(Ray氏)というJリーグならばチームの根幹を揺るがす罰金が科される。
もちろん、Jリーグは決してラフなリーグではない。しかし、今回のような問題が起きている現状を考えれば、早い段階でリーグとして改善に乗り出すべきではないか。
スタジアムでのサポーターの問題、ピッチでの選手の問題などは、どのリーグも通ってきた道ともいえる。その道を乗り越え、成功を収めているプレミアリーグの試みは参考になるはずだ(参考記事:プレミアリーグの試みとは?)。