コンサドーレの野々村芳和社長が語る日ハムとのコラボの可能性

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経営コンサルタントを本業としながらも、サッカー日本代表とコンサドーレの熱烈なサポーターとして各種メディアで積極的に情報発信を行っている村上アシシ氏。今回、J論ではアシシ氏独特のサポーター視点、経営コンサルタント視点で日本サッカー界を盛り上げる方法を探る対談企画をスタート。第一回は北海道コンサドーレ札幌・野々村芳和社長。先週お送りした<前編>では放映権ビジネス、東南アジア戦略、事業の多角化など、野々村社長が描くコンサドーレのビジョンを伺った。今回の後編では、日ハムとの協業や若い世代向け施策、社長が抱く究極のクラブ哲学についてお送りする(取材日:2016年5月9日)

▼日本ハムファイターズとコンサドーレの関係性

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アシシ:日ハムはコンサドーレにとって良きライバルでもあり、一緒にスポーツ界を盛り上げていく同志でもあると思うんですが、日ハムとのコラボみたいなのは最近増えていますか?

野々村:そうでもないと思うけど。

アシシ:去年、小野伸二選手と大谷翔平選手の対談企画がありましたよね。最近気になっているのは、コンサドーレは月曜開催が多くなってきているじゃないですか。あれはネガティブな要素とポジティブな要素があると思っていて、ネガティブなのは単純に土日は日ハムに札幌ドームが取られてしまう点。ポジティブなところでは月曜日はプロ野球の試合が原則休み、だったらコンサドーレの試合を見にきてくださいと日ハムファンに訴求できる点。ある意味ピンチをチャンスに変えることができていると思います。

野々村:それはそうだね。ただね、月曜開催を手を広げてウェルカム、っていうとそうでもない。

アシシ:でも今季はここ最近だと、一番多いですよね、たしか合計3試合?

野々村:そうね。多いのはそれこそネガティブな要素で、ドームに入れてくれないからなんだよね。なんでホームスタジアムが土日にやらしてくれないんだって相当おかしいわけ。でも、ドームがそこはだめですって言うなら、逆手に取って月曜日にサラリーマンとかがたくさん来るようにと去年あたりからやっている。

アシシ:セレッソ戦で去年月曜開催やって、観客がすごく入りましたよね。

野々村:18000人を超えたわけでしょ。このやり方は全然ありだと思う。ただ、本来なら土日にやりたいのが正直なところ。

アシシ:そりゃそうですよね。相手のクラブに対しても調整とかしなきゃいけないですし。

野々村:今J2だからアウェーのお客さんがほとんど来ないからいいけど、これがJ1だったら例えばレッズの客が週末だと2000人来るのに月曜日にやったら200人ですということになりかねない。

アシシ:それは避けたいですね。

野々村:日ハムとコラボしてもいいのだけど、相反するところが多そうな気がする。向こうはやろうやろうって言ってくれるんで何かできたらいいなと思ってるけれど。

アシシ:北海道の人口として、540万人の母数は増やせないわけじゃないですか。その母数の中から、一定数存在する日ハムを応援している層は、元々スポーツ観戦が好きという親和性があるはずなので、コンサドーレの顧客に潜在的に成り得ると僕は考えています。そこにターゲットを絞っての月曜開催ってのは、僕は非常に面白いと思います。

野々村:それを狙って、月曜夜にサラリーマンが仕事帰りに来てもらう企画として『仕事人ナイト』というのをやっているけれど、問題は何月何日の月曜日7時からコンサドーレの試合がありますっていう情報をどれぐらいの人に知ってもらえるか。そこの難しさがあると思う。

アシシ:今シーズンはそれを改善するために地上波放送をバンバンやろうと。

野々村:というのがまずひとつ。なんとなくコンサドーレのことを日常的に感じてもらうっていうのと、情報を拾ってもらうこと。今の世の中、自分たちから情報を取りに行かないとなかなか得られないじゃない。そのきっかけを生活の中にどれだけ出していくかみたいなことに金を使わないと今は難しい。

アシシ:今季北海道ローカルの地上波でホーム戦全試合中継と言い切ったのは、大風呂敷を広げたなと(笑)。

野々村:全部生中継できればと色々と調整はしているんだけど、なかなか難しいね。でもこの試みで少しでも道民にコンサドーレの情報を日常の中で届けられたらなと思う。

▼若い世代を顧客に取り込むことが全てではない

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アシシ:今コンサドーレのサポーターの年齢層がすごく上がっているじゃないですか。

野々村:上がっているね。平均40歳くらいかな。

アシシ:確かJリーグの中でもトップ3ぐらいですよね。

野々村:1位の時もあれば3位の時もあるけど、大体上位にいるよね。

アシシ:この前コンサドーレのスタッフとお酒飲んだ時に、「アシシさん、若い人呼ぶにはどうしたらいいか教えてくれ」って超真面目に質問されて(笑)。いろいろ提言したのですけど、やっぱり定番は若い女性向けのオシャレなユニフォームを出すことかなと。今シーズン横浜Fマリノスがアウェーのユニフォームをピンクにしたじゃないですか。水戸ホーリーホックも去年ピンクでした。そもそもセレッソはホームがピンクだから、カジュアルに女性がユニフォームを着れるのがウケていると僕は勝手に推測しています。ああいう若い女子向けの施策は、コンサドーレはやらないんですか?

野々村:それはあるかもね。でも、それをどう伝えるかっていう方の整備がけっこう重要だと思う。

アシシ:どう露出させるか。

野々村:そう。若い子たちにどう届けるか。ピンクのユニフォームを作ったとしても、コンサドーレの周りにいる人たちには伝わるだろうけど、果たしてサッカーにあまり興味のない高校生や中学生に届くのか。今の世の中で特に北海道だとテレビの露出が一番だと思っていて、まずはそこの露出面の整備を今行っているところ。

アシシ:テレビだけでは、なかなか届かないと思うのですが。

野々村:もちろんインターネットもあるよ。そこも力は入れている。でも、北海道の場合は、まだまだ地上波の影響力は侮れない。

アシシ:確かに、北海道だとそうかもしれないですね。

野々村:東京だったらまったく別のやり方じゃなきゃいけないと思う。だから、向こうの方が大変な気がする。

アシシ:インターネットでの施策は博報堂から知見を得る感じですか?

野々村:博報堂はまだ来て1ヶ月だから、これからだね。話を戻すと、年齢層が高くなっていることは、僕自身はそこまで気にしていない。

アシシ:先日試合見終わった後に、札幌ドームから新千歳空港に直接向かおうと、空港バスのバス停で待っていたんですが、隣の路線バスのバス停に並んでいるお客さんは、ものの見事に赤黒ユニフォームを着たおじいちゃんおばあちゃんばかりで、びっくりした記憶があります。

野々村:実に良いことだ。

アシシ:悪いことではないですけど、若い世代をどんどん取り込んでいかないと、長期的に見ると良くないと思います。

野々村:それはあるよね。でも、コンサドーレのサポーターは年齢層が高い高いって言っても、(プレミアリーグの)チェルシーよりは年齢層低いからね。

アシシ:なんと。それは知りませんでした。

野々村:日本の平均年齢も毎年上がっているわけだから、そんなに気にする必要はない。けれども、若い人をもっと呼ぶ方法は、ちゃんと考えた方がいいかなとは思う。ただ、コンサドーレが立ち上がった当時とか、岡田(武史)監督時代にハマった人たちがそのまま年を取ったみたいな印象があるのは事実だと思う。あのムーブメントをもう一度今作れば、この先10年は大丈夫かなって。

▼就任4年目でようやく浸透してきたクラブ哲学

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アシシ:ちょっと話が逸れますが、札幌ドームは2つオーロラビジョンがあるのだから、例えばフォーメーションだったり交代してくる選手の成績など、そういう細かいデータまで表示するような工夫ができるかなと。例えば日ハムだと、盗塁成功率とかゴロの割合とか、非常に細かいデータがリアルタイムに表示されて、マニアには受けていると聞いたことがあります。

野々村:Jリーグでもそういうデータの活用がようやく今年から始まったところだよね。まだ細かいデータの取得はJ1のみだけど。コンサドーレのデータは、たぶん自分たちで用意すればやれるとは思う。僕ももっとあのビジョンを上手に使いたいと思ってる。

アシシ:経営方針やメディア露出の話など色々と聞いてきましたが、最後に。野々村社長はサポーターに対して勝ち負けで一喜一憂するよりも、一緒にクラブを育てていこうと常日頃訴えてきました。この姿勢はサッカーを文化として根付かせる究極の哲学だと思います。今年で就任4年目ですが、やっとそのクラブ哲学が、サポーターの末端まで浸透してきた実感があります。

野々村:そう、その通り! 正直、すごく嬉しいんだよ。

アシシ:それは去年のファジアーノ岡山戦後にサポーター参加型で実施した『コンサドーレを考える会』の開催が一役買いましたし、コアなサポーターも一定の理解を示すようになってきたように思います。

野々村:とはいっても、批判を封じ込めるつもりはなくて、だめな時期は是非批判してほしいと思ってる。

アシシ:最近は一体感のようなものがすごく生まれてきて、ついに成熟期に入ったなと思います。来年、再来年を見据えて、中期的にこういうことをしたいとか、社長独自のビジョンはありますか?

野々村:クラブを一緒に育てたいという思いを持つ人たちがどのぐらい増えるかっていうのがすべてかなと。増えたら勝てる確率が確実に増える。

アシシ:規模も大きくなりますしね。

野々村:お金の話ばかりするとあれなんだけど、結局大きくならないと勝つ確率は上がらないので、その仲間をどれだけ増やせるかにかかっている。

アシシ:お金の心配をするのが経営者の仕事ですから。

野々村:繰り返すけど、これから5年ぐらいでJリーグとしても放映権を始めとしてサッカービジネスがけっこう伸びるんじゃないかなと僕は思ってる。その時に全く違うスケールになる可能性があると思っていて、それに向けて色々と仕込んでいきたいなと。

アシシ:僕も今季、コンサドーレを一緒に育てていく同志として、個人スポンサーの枠をサポートシップパートナーから夢プランパートナーに格上げする予定です。

野々村:それは頼もしい! 一緒にクラブを作り上げていきましょう。

アシシ:今日はありがとうございました。

野々村:こちらこそありがとうございました。

村上アシシ

1977年札幌生まれ。職業は経営コンサルタント・著述家。外資系コンサルティング企業・アクセンチュアを2006年に退職し、個人コンサルタントとして独立して以降、『半年仕事・半年旅人』のライフスタイルを継続中。南アW杯出場32カ国を歴訪した世界一蹴の旅を2010年に完遂。Jリーグでは北海道コンサドーレ札幌のサポーター兼個人スポンサー。

ウェブサイト:http://atsushi2010.com/
ツイッター:https://twitter.com/4JPN
近著:海外旅行のノウハウ本『ロジ旅

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